チェット・ベイカーが贈る至福のジャズ ─ 『チェット・ベイカー・プレイズ・ラーナー&ロウ』の魅力を徹底解説
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
ジャズの時代背景 ─ 1950年代から1960年代のジャズシーン
1950年代から1960年代にかけてのジャズは、ビバップ、クール・ジャズ、ハード・バップといったスタイルが進化し、ジャズの黄金時代と呼ばれる時期でした。
- 1950年代初頭には、チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーが牽引したビバップが主流。超絶技巧と速いテンポが特徴でした。
- 1950年代中盤から後半にかけては、クール・ジャズが登場。マイルス・デイヴィスの『Birth of the Cool』や、ジェリー・マリガンのピアノレス・カルテットが人気を博しました。
- 1960年代には、ジョン・コルトレーンやソニー・ロリンズが活躍し、モーダル・ジャズやフリー・ジャズが生まれます。
チェット・ベイカーはこの時代、クール・ジャズの代表的なトランペッターとして活躍。甘く切ないトーンで、ジャズの新たな魅力を生み出しました。
チェット・ベイカーとは? ─ 伝説のトランペッターの生涯と音楽スタイル
生い立ちと音楽の始まり
チェット・ベイカー(本名: Chesney Henry Baker Jr.)は、1929年12月23日、アメリカ・オクラホマ州に生まれました。幼い頃から音楽に親しみ、13歳でトランペットを手にしました。
ジャズとの出会いとキャリアの始まり
高校を中退した後、陸軍に入隊し、ドイツ駐在中にジャズにのめり込みます。
1952年、チャーリー・パーカーのバンドに抜擢されたことをきっかけに、プロとしてのキャリアが本格化しました。
ジェリー・マリガンとの共演とクール・ジャズの確立
1952年、サックス奏者ジェリー・マリガンと結成したピアノレス・カルテットで脚光を浴び、クール・ジャズの代表的な存在となりました。
その後、自身のカルテットを結成し、ヨーロッパでも高い評価を得ます。
ドラマチックな人生と音楽への情熱
彼のキャリアは成功と挫折が交錯しました。麻薬問題に苦しみながらも、1970年代にはカムバックを果たし、1988年に亡くなるまで演奏を続けました。
『チェット・ベイカー・プレイズ・ラーナー&ロウ』とは? ─ アルバムの概要とコンセプト
- 発売年: 1959年
- 録音: 1959年7月21日、22日(ニューヨーク)
- ジャンル: クール・ジャズ
- 特徴: トランペットとフルートの繊細なアンサンブル、ミュージカル楽曲のジャズアレンジ
本作は、ブロードウェイ・ミュージカルの名コンビ「ラーナー&ロウ」の楽曲をジャズ・アレンジで演奏したアルバムです。
美しいメロディをチェット・ベイカーのトランペットがリリカルに奏で、心地よい癒しをもたらします。
収録曲解説 ─ ラーナー&ロウの名曲をチェット・ベイカーが奏でる魅力
アイヴ・グロウン・アカスタムド・トゥ・ハー・フェイス
ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の名曲。柔らかく語りかけるようなトランペットが印象的。
一晩中踊れたら
『マイ・フェア・レディ』のダンサブルな楽曲をスウィング感たっぷりにアレンジ。
ザ・ヒーザー・オン・ザ・ヒル
映画『ブリガドーン』の名曲。フルートとトランペットの掛け合いが美しい。
君住む街で
ロマンティックなメロディが特徴。チェット・ベイカーの甘い音色が光る。
恋をしてみたい
心地よいテンポと美しいアレンジが印象的な一曲。
サンク・ヘヴン・フォー・リトル・ガールズ
フランス映画『恋をしましょう』のテーマ曲。
アイ・トーク・トゥ・ザ・ツリーズ
『ペイント・ユア・ワゴン』の楽曲。静かに心に響く演奏。
ショウ・ミー
エネルギッシュなトランペットが際立つラストナンバー。
演奏メンバー紹介 ─ 豪華なミュージシャンたち
- チェット・ベイカー (tp) – 繊細でリリカルなトランペット
- ハービー・マン (fl, ts) – 軽やかなフルートが彩りを添える
- ズート・シムズ (ts, as) – スウィング感あふれるサックス
- ペッパー・アダムス (bs) – 重厚なバリトンサックス
- ビル・エヴァンス、ボブ・コーウィン (p) – 優雅なピアノプレイ
- アール・メイ (b) – 安定したベースライン
- クリフォード・ジャーヴィス (ds) – 繊細なドラムワーク
このアルバムを楽しむポイント
- チェット・ベイカーの美しいトランペットの音色を堪能する
- ミュージカルの名曲をジャズで聴く新鮮さを楽しむ
- 名手たちの繊細なアンサンブルを味わう
まとめ ─ チェット・ベイカーのジャズが持つ癒しの力
『チェット・ベイカー・プレイズ・ラーナー&ロウ』は、クール・ジャズの魅力を存分に味わえる一枚です。
優雅でリラックスした時間を提供してくれるこのアルバムは、まさに”癒しのジャズ”の決定版です。
下記URLはYouTubeにThe Heather On The Hillが上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=FwH0-OtOxa4
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・
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