【名盤レビュー】ジャッキー・マクリーン『New Soil』の魅力を徹底解説!時代背景・収録曲・演奏のポイント
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
【ジャズ名盤の真髄】ジャッキー・マクリーン『New Soil』の魅力と時代背景を徹底解説!
ジャズの世界において、「ブルーノート」というレーベルは数々の名盤を世に送り出し、ジャズの歴史そのものを彩ってきました。
その中でも、1959年に発表されたジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)の『New Soil』は、ハード・バップのエネルギーと革新性を象徴する一枚として高く評価されています。
本記事では、このアルバムの魅力や背景、収録曲の特徴を詳しく解説し、ジャズの深遠な世界へとご案内します。
1. 『New Soil』とは? – ジャズ史に刻まれた革新の一枚
1959年にブルーノート・レーベル(Blue Note Records)からリリースされた『New Soil』は、ジャッキー・マクリーンが同レーベルに移籍後、初めてリーダーとして発表した作品です。
それまでのマクリーンはプレスティッジ・レーベルで活動していましたが、本作ではブルーノートのプロデューサーであるアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)のディレクションのもと、新たな音楽的な方向性を打ち出しました。
本作の特徴は、情熱的なフレージング、個性的なハーモニー、そして強烈なリズムセクションにあります。マクリーンはこの作品で、アグレッシブかつエモーショナルな演奏を披露し、以降のブルーノート作品における彼のスタイルを決定づけました。
1-1. 収録メンバー
『New Soil』の演奏を支えたのは、ジャズ界でも名高いミュージシャンたちでした。
- ジャッキー・マクリーン(アルト・サックス)
- ドナルド・バード(トランペット)
- ウォルター・デイヴィスJr.(ピアノ)
- ポール・チェンバース(ベース)
- ピート・ラロカ(ドラムス)
このメンバー構成は、当時のモダン・ジャズ界において非常に洗練された編成でした。特にリズム・セクションの異色な組み合わせが、アルバムに独特の躍動感を生み出しています。
2. 時代背景 – 1950年代後半のジャズシーンとハード・バップの進化
1950年代後半は、ハード・バップ(Hard Bop)がジャズ界を席巻していた時期でした。ビバップの発展形であるハード・バップは、よりリズミックで、ゴスペルやブルースの要素を強く持ち、ファンキーな要素も取り入れたスタイルとして発展しました。
マイルス・デイヴィス、アート・ブレイキー、ホレス・シルヴァーといったアーティストたちがこのムーブメントを牽引し、ジャッキー・マクリーンもその波に乗って自身のスタイルを確立していきました。
1959年という年は、ジャズの歴史の中でも特に重要な年であり、マイルス・デイヴィスの『Kind of Blue』やデイヴ・ブルーベックの『Time Out』といった歴史的名盤がリリースされた年でもあります。その中で、『New Soil』もハード・バップの名盤として確固たる評価を受けることになりました。
3. 収録曲の魅力 – 5つの楽曲に秘められた情熱
『New Soil』には、以下の5曲が収録されています。
- Hip Strut(ヒップ・ストラット)
- Minor Apprehension(マイナー・アプリヘンション)
- Greasy(グリージー)
- Sweet Cakes(スイート・ケイクス)
- Davis Cup(デイヴィス・カップ)
それぞれの楽曲の特徴を詳しく見ていきましょう。
3-1. Hip Strut(ヒップ・ストラット) – スイング感あふれるオープニング
アルバムの幕開けを飾るこの曲は、軽快なスイング感が特徴です。ドナルド・バードのトランペットとマクリーンのアルト・サックスが絡み合い、聴く者を一気にジャズの世界へと引き込みます。
3-2. Minor Apprehension(マイナー・アプリヘンション) – 炎のような名演
本作のハイライトとも言える楽曲で、情熱的なアドリブと力強いハーモニーが魅力です。マクリーンのアルト・サックスはまるで叫び声のように激しく、ピアノのウォルター・デイヴィスJr.も鋭いタッチで応えています。
3-3. Greasy(グリージー) – ブルースのエッセンス
タイトルの「Greasy」は「脂っこい」という意味ですが、まさにブルース色の濃いファンキーなナンバーです。チェンバースのウォーキング・ベースがグルーヴを生み出し、ラロカのドラムがそれを支えます。
3-4. Sweet Cakes(スイート・ケイクス) – 軽快なメロディ
この曲は、比較的シンプルで親しみやすいメロディが特徴です。マクリーンのアルト・サックスが甘美な音色を奏で、まるで会話をするような掛け合いが聴きどころです。
3-5. Davis Cup(デイヴィス・カップ) – ウォルター・デイヴィスJr.の才能
この楽曲は、ピアニストのウォルター・デイヴィスJr.の作曲によるものです。彼の唯一のブルーノート作品である『Davis Cup』へと繋がる要素もあり、後のキャリアの布石となった楽曲と言えるでしょう。
4. 『New Soil』の魅力と意義
『New Soil』は、ジャッキー・マクリーンにとって、ブルーノートでのキャリアのスタートを飾る重要な作品であり、彼の独自のサウンドが確立される契機となった一枚です。
また、このアルバムはハード・バップというスタイルの進化を象徴する作品でもあり、情熱的なアドリブ、異色のリズムセクション、そしてブルーノートならではの洗練された録音技術が見事に融合しています。
現在もなお、多くのジャズ・ファンや評論家から高い評価を受けており、「ジャズを深く知りたい」「ハード・バップを堪能したい」と思う方にとって、必聴の一枚と言えるでしょう。
ジャッキー・マクリーンの魂を感じる『New Soil』、ぜひじっくりと聴いてみてください!
下記URLはYouTubeにHip Strut (Remastered)が上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=NE3VqmGq0Uo&list=PLEyxWPyoryRLfdBar8O9MDM13himJJh1T
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・