ジャズ界の巨匠ベニー・ゴルソンの名作アルバム『グルーヴィン・ウィズ・ゴルソン
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
1. はじめに
ジャズの黄金期、1950年代後半から1960年代初頭にかけて、数々の名作が生まれた。その中でも、ベニー・ゴルソンが1959年にニュージャージーで録音した『グルーヴィン・ウィズ・ゴルソン』は、ハード・バップの醍醐味を存分に味わえる一枚だ。本作は、豪華なメンバーとともに、ゴルソン独特の洗練されたハーモニーと流麗なアンサンブルが特徴となっている。
本記事では、アルバムの背景、各楽曲の魅力、そして参加ミュージシャンの貢献について詳しく掘り下げていく。
2. ベニー・ゴルソンとは?
2-1. 作曲家・編曲家としての名声
ベニー・ゴルソン(Benny Golson)は、ジャズ界屈指のテナー・サックス奏者であり、同時に偉大な作曲家・編曲家でもある。彼の手がけた「ブルース・マーチ」「アイ・リメンバー・クリフォード」「ウィスパー・ノット」などは、今なおジャズ・スタンダードとして愛され続けている。
2-2. ハード・バップへの貢献
ゴルソンは、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの一員としても活動し、ジャズ・メッセンジャーズの作編曲面での質を高めた。その後、カーティス・フラーらと共に「ジャズテット」を結成し、より洗練されたハード・バップ・サウンドを追求することとなる。本作はその転換期に録音されており、彼の音楽的な進化を捉える貴重な作品といえる。
3. 『グルーヴィン・ウィズ・ゴルソン』の魅力
3-1. ハード・バップの真髄を味わう
本作は、ハード・バップのエッセンスを凝縮したアルバムだが、過度にアグレッシブな演奏ではなく、ゴルソンの持ち味であるメロディアスで洗練されたアプローチが随所に光る。カーティス・フラーのトロンボーンと絶妙に絡み合うサックス・ハーモニーが印象的である。
3-2. 参加ミュージシャン
本作の完成度を高めているのは、豪華なミュージシャンたちだ。
- ベニー・ゴルソン(ts) … リーダーとしての貫禄を見せる、流麗なフレージング。
- カーティス・フラー(tb) … ゴルソンとのハーモニーが心地よく、温かみのあるトーンが魅力。
- レイ・ブライアント(p) … スウィンギーかつブルージーなプレイが随所に光る。
- ポール・チェンバース(b) … モダン・ジャズの名手が、安定したリズムと豊かな低音を提供。
- アート・ブレイキー(ds) … ジャズ・メッセンジャーズのリーダーとしても知られる彼のダイナミックなドラミングが全体を引き締める。
4. 各楽曲の解説
4-1. マイ・ブルース・ハウス
オープニング・ナンバーは、ゴルソンらしいブルージーな楽曲。アート・ブレイキーのリズムのキレが光る。
4-2. ドラムブギ
タイトル通り、ブレイキーのドラムが際立つトラック。ポール・チェンバースのウォーキング・ベースも心地よい。
4-3. 時さえ忘れて
バラード調のナンバーで、ゴルソンの繊細な表現力が際立つ。レイ・ブライアントのピアノ・タッチも美しい。
4-4. ザ・ストローラー
スウィング感あふれる楽曲で、カーティス・フラーとの絶妙なコンビネーションが聴きどころ。
4-5. イエスタデイズ
スタンダード曲のカバー。ゴルソンの抑制された表現が、楽曲の美しさを引き立てる。
5. アルバムの意義と評価
5-1. ハード・バップの枠を超えた芸術性
『グルーヴィン・ウィズ・ゴルソン』は、単なるハード・バップのアルバムではなく、ジャズの持つメロディアスな魅力とアンサンブルの妙を堪能できる作品だ。特にゴルソンとフラーのアンサンブルは、後のジャズテットへとつながる布石となっている。
5-2. 現代のリスナーへのおすすめポイント
- ハード・バップを深く知りたいリスナーに最適
- アート・ブレイキーのドラミングが好きな人にもおすすめ
- ベニー・ゴルソンのメロディアスな演奏を楽しみたい人向け
6. まとめ
『グルーヴィン・ウィズ・ゴルソン』は、1959年というジャズ黄金期に生まれたハード・バップの名盤であり、洗練されたアンサンブルと心地よいハーモニーが特徴の作品だ。ベニー・ゴルソンとカーティス・フラーの息の合ったプレイ、そしてアート・ブレイキーの圧倒的なドラムワークが見事に融合している。
ジャズ初心者から上級者まで楽しめるこのアルバムは、今なお色褪せることのない輝きを放ち続けている。ぜひ一度、その音世界に浸ってみてほしい。
下記URLはYouTubeにBenny Golson – Groovin´ With Golson -1959 (FULL ALBUM)が上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=lPAGTmuxVPY
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・