【癒しのジャズ名盤】ナット・アダレイ『ワーク・ソング』を深掘り|ウェス・モンゴメリーら豪華共演陣による至高のハードバップ
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
ハードバップからファンキー・ジャズへ|時代のうねりと「癒し」のグルーヴ
1960年代初頭のアメリカ。ジャズはすでにビバップを経て、ハードバップ、さらにはゴスペルやブルース要素を取り入れたファンキー・ジャズへと進化していました。この変化の背景には、黒人コミュニティの社会的アイデンティティの表現と、より大衆に開かれた音楽への欲求がありました。
ハードバップは知的で構築的なスタイルでありながら、ファンキー・ジャズは「魂に直接届く音楽」として、多くの人々の心を捉えました。その中心人物の一人が、本作の主役 ナット・アダレイ(Nat Adderley)です。
ナット・アダレイとは?|作曲家としても名高いトランペッター
ナット・アダレイは、サックス奏者キャノンボール・アダレイの実弟として知られるコルネット奏者。兄のバンドで多くの録音を残しながら、独自の個性を確立したトランペッターでもあります。
彼は単なる伴奏者ではなく、「ワーク・ソング」や「ジヴィン・ザ・ビジネス」など数々の名曲を生み出した作曲家としての顔も持っています。特に「ワーク・ソング」は後にオスカー・ブラウン・ジュニアによって歌詞が加えられ、ボーカル・ジャズのスタンダードとしても広く知られるようになりました。
『ワーク・ソング』:1960年、ニューヨークでのセッション
このアルバムは1960年1月25日と27日、ニューヨークで録音され、Riversideレーベルからリリースされました。当時のナット・アダレイはキャリアの頂点に差し掛かっており、本作では自作曲を中心に、バラードやスタンダードも交えたバラエティ豊かな構成となっています。
特筆すべきは、参加ミュージシャンの豪華さ。
豪華メンバーと異色の編成
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ナット・アダレイ(cor)
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ウェス・モンゴメリー(g)
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ボビー・ティモンズ(p)
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サム・ジョーンズ(b, cello)
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キーター・ベッツ(b, cello)
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パーシー・ヒース(b)
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ルイ・ヘイズ(ds)
特に珍しいのは、チェロ(pizzicato)を取り入れた編成。ジャズのアルバムでチェロをフィーチャーするのは極めて異例であり、サウンドにクラシカルな要素と、より深い情緒を与えています。
収録曲解説|「ファンキー・ジャズ=癒し」と感じさせるグルーヴと詩情
ワーク・ソング
ナット・アダレイ自身による代表作。土の香りを感じさせるブルージーな旋律と、重厚なグルーヴが特徴。ウェス・モンゴメリーのギターが絶妙に絡み合い、ジャズにしてフォークのような感情の震えを感じる名演。
プリティ・メモリー
淡く切ないメロディが印象的なナンバー。チェロの温もりある音色が重なり、まさに「癒しのジャズ」と呼ぶにふさわしい雰囲気を醸します。夜のひとときにぴったりな1曲。
アイヴ・ガット・ア・クラッシュ・オン・ユー
ガーシュウィンの名スタンダードを、ナットのコルネットが抒情的に歌い上げるバラード。余白の美学を大切にしたアレンジは、心をゆっくり解きほぐしてくれます。
ミーン・トゥ・ミー
シンプルながら味わい深い、スタンダードの中でも名演に数えられる出来栄え。ハードバップ的なアプローチが、曲の持つ甘さと絶妙にマッチしています。
フォールアウト
スリリングな展開が魅力のナンバー。ルイ・ヘイズのドラムが火を吹くように疾走し、ウェス・モンゴメリーのギターソロが空間を一気に引き締めます。
サック・オブ・ウォー
バップ的フレージングとファンキーなビートが融合した隠れた名曲。アダレイ兄弟の音楽的な知性と情熱を感じられる1曲。
マイ・ハート・ストゥッド・スティル
リチャード・ロジャース作の美しいメロディが光るバラード。チェロの低音が心地よく響き、静寂の中で深呼吸するような時間が流れます。
コートにすみれを
このタイトルのセンスにもアダレイの詩人としての一面が。春の訪れのような軽やかさと、内に秘めた情熱を感じる演奏。
スクランブル・エッグ
アルバムのラストを飾る、少し遊び心を感じる軽快なナンバー。目覚めのコーヒーとともに聴きたい、そんな小粋な一曲です。
癒しとしてのジャズ|『ワーク・ソング』がもたらす音のやすらぎ
『ワーク・ソング』は、そのタイトルに反して、日々の疲れを癒す音楽的処方箋のような一枚です。ファンキーでありながら知的、ブルージーでありながら洗練されたこのアルバムは、心に余裕を取り戻してくれる「癒しのジャズ」そのもの。
お気に入りの紅茶やコーヒーを片手に、深く呼吸しながら聴いてみてください。きっと、ナット・アダレイのコルネットがそっと背中を押してくれるはずです。
まとめ|今こそ再発見したい「ファンキー・ジャズの名盤」
ナット・アダレイ『ワーク・ソング』は、ジャズの歴史の中でも特に味わい深く、心に寄り添う名盤。豪華メンバーと多彩な編成で描かれる音世界は、60年以上経った今でも色褪せることなく、私たちの心に癒しと活力を与えてくれます。
下記URLはYouTubeにNat Adderley Work Songが上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=4rmXbiD3Jog
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・
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特に、本アルバムは下記の別ブログの名盤29でもご紹介しました素晴らしいアルバムです。
Jazz おすすめ名盤【ロマンチック】 – 松藏七代 生活お役立ち部屋&趣味の部屋
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