シェリー・マンの傑作アルバム『マイ・フェア・レディ』 | ミュージカル名曲がジャズで蘇る至高のピアノトリオ
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
ウエストコースト・ジャズの歴史とシェリー・マンの役割
1950年代、アメリカ西海岸を中心に発展したウエストコースト・ジャズは、洗練されたアンサンブルと軽快なスイング感で、当時のジャズシーンに新風を吹き込みました。その中心人物の一人が、ドラマーのシェリー・マンです。彼の巧みなドラムテクニックは、ジャズドラムの新境地を切り開き、今なお多くのジャズファンに支持されています。
シェリー・マン・トリオによる『マイ・フェア・レディ』のジャズアレンジ
シェリー・マンが率いるピアノトリオが、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の音楽をジャズに昇華させたアルバムは、1956年にリリースされました。彼のトリオには、後にクラシックの世界でも名を馳せたピアニストアンドレ・プレヴィン、そしてベーシストのリロイ・ヴィネガーが参加しています。この3人が織りなすサウンドは、緊張感と歌心が満載で、ミュージカルの名曲を新たな視点から楽しむことができます。
ピアニスト アンドレ・プレヴィンとジャズ界での功績
アンドレ・プレヴィンは、クラシック音楽とジャズを自在に行き来した天才ピアニストとして知られています。彼のピアノは、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の持つ優雅さと躍動感を巧みにジャズに取り入れ、軽快でリズミカルな演奏を展開。プレヴィンのタッチは、一つ一つのメロディに生命を吹き込むようで、アルバム全体にわたって彼の独自の魅力が際立っています。
『マイ・フェア・レディ』収録曲の魅力:ミュージカルからジャズへ
アルバムには、『マイ・フェア・レディ』の名曲が全8曲収録されています。中でも「教会に間に合うように行ってくれ」や「君住む街で」といった代表曲は、ミュージカルファンにもジャズファンにも馴染みのある曲です。シェリー・マンのトリオは、これらの楽曲を新たなジャズの解釈で見事に再構築しており、原曲のメロディを尊重しながらも、自由な即興性を取り入れています。
収録曲
1. 教会に間に合うように行ってくれ
2. きみ住む街で
3. アイヴ・グロウン・アカスタムド・トゥ・ハー・フェイス
4. そうなったら素敵
5. アスコット・ガヴォット
6. ショー・ミー
7. ちょっぴり幸せ
8. 一晩中踊れたら
シェリー・マン(DS)、アンドレ・プレヴィン(P)、リロイ・ヴィネガー(B)
1956年8月17日、ロサンジェルスにて録音
ジャズファン必聴の理由!スウィンギーでスリリングな演奏
このアルバムがジャズファンにとって特別なのは、トリオが奏でるスウィンギーな演奏とスリリングな即興パートにあります。ドラマーであるシェリー・マンが中心となり、彼のドラムプレイがピアノとベースを巧みに支えつつも、全体を牽引しています。リズムの変化やテンポ感、そして曲ごとに異なる表現の多様性が、聴く者を引き込み、飽きさせません。
シェリー・マンと『マイ・フェア・レディ』の音楽的影響
シェリー・マンは、ジャズドラマーとして技術の高さだけでなく、音楽全体を俯瞰する視点を持っていました。このアルバムを通して、彼はミュージカル音楽の名曲をジャズの文脈で再解釈し、ジャズに新たな息吹を与えることに成功しています。『マイ・フェア・レディ』のメロディを熟知しつつも、ジャズならではの自由なアプローチが曲全体に散りばめられており、ジャズ史に残る名作として評価されています。
1956年録音の時代背景とウエストコースト・ジャズシーン
1956年という時代は、ジャズの進化が加速していた時期です。東海岸ではビバップが主流であった一方、西海岸ではウエストコースト・ジャズが静かに台頭していました。よりリラックスしたリズム感や、クールな演奏スタイルが特徴であり、その中心にシェリー・マンのようなドラマーがいました。『マイ・フェア・レディ』の録音も、このウエストコースト・ジャズの代表作として位置づけられています。
下記URLはYouTubeにShelly Manne & his Friends:My Fair Ladyが上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=3TFvLHFFGnU&t=5s
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・