【ジャズ革命】オーネット・コールマン『トゥモロウ・イズ・ザ・クエスチョン』｜フリー・ジャズの扉を開いた歴史的名盤を徹底解説！
はじめに｜オーネット・コールマンが切り拓いたジャズの新時代
1959年、ジャズの歴史が大きく動いた年にオーネット・コールマン（Ornette Coleman）が発表した『トゥモロウ・イズ・ザ・クエスチョン（Tomorrow Is The Question!）』は、まさにその変革を象徴する一枚でした。
コールマンは、ジャズの伝統的な枠組みを超え、メロディ・ハーモニー・リズムの常識を覆す「フリー・ジャズ」の扉を開いたパイオニアです。本作は、彼のフリー・ジャズ路線を決定づけるアルバムとして知られ、従来のコード進行に縛られない革新的なアプローチを取り入れたことが特徴です。
このアルバムでは、盟友ドン・チェリー（tp）との双頭フロントラインを中心に、ウエスト・コースト・ジャズの実力派リズムセクションと共演。混沌とした中にも確かな意思が宿るサウンドが聴く者の心を揺さぶります。
本記事では、ジャズ史に残るこの名盤の魅力を時代背景・アーティスト紹介・アルバム解説を交えて深掘りしていきます。
1959年｜ジャズの転換点とオーネット・コールマンの挑戦
ジャズの黄金期に生まれた革新者
1959年は、ジャズ史において「革命の年」とも言われるほどの名盤が次々と誕生しました。
- マイルス・デイヴィス『カインド・オブ・ブルー』（モード・ジャズの金字塔）
- ジョン・コルトレーン『ジャイアント・ステップス』（高度なコード進行を駆使）
- デイヴ・ブルーベック『タイム・アウト』（変拍子ジャズの先駆け）
- チャールズ・ミンガス『ミンガス・アー・アム』（自由な作曲アプローチ）
そんな中、オーネット・コールマンはジャズの既成概念を完全に打ち壊す新しい音楽を生み出しました。
オーネット・コールマンとは？｜ジャズの「型」を壊した天才サックス奏者
オーネット・コールマンのプロフィール
- 生年月日：1930年3月9日
- 出身地：アメリカ・テキサス州フォートワース
- 楽器：アルト・サックス、ヴァイオリン、トランペット
- 音楽スタイル：フリー・ジャズの創始者
コールマンは、伝統的な音楽理論にとらわれない自由なアプローチを探求し続けたミュージシャンでした。彼の音楽は、調性を意識しつつも、コード進行から解放された即興演奏を主体としています。
彼のサウンドは感情の爆発のように奔放で、しかし確かなストーリー性を持つのが特徴です。彼の革新は、多くのジャズミュージシャンに影響を与え、後のフリー・ジャズの発展に大きな影響を及ぼしました。
『トゥモロウ・イズ・ザ・クエスチョン』の革新性と聴きどころ
録音メンバー
1959年1月16日、2月23日、3月9日＆10日、ロサンゼルスにて録音。
- オーネット・コールマン（アルト・サックス）
- ドン・チェリー（トランペット）
- パーシー・ヒース（ベース, M1～M6）
- レッド・ミッチェル（ベース, M7～M9）
- シェリー・マン（ドラムス）
コールマンの音楽において、従来の和声やコード進行を廃し、メロディラインの自由な展開が生まれたことが本作の特徴です。
全曲レビュー｜「フリー・ジャズ」の萌芽を聴く
「トゥモロウ・イズ・ザ・クエスチョン」
アルバムの幕開けを飾るタイトル曲。リズムの揺らぎやコード進行からの解放が印象的なナンバーで、コールマンの革新性がすでに現れています。
「ティアーズ・インサイド」
独特なメロディラインが特徴的で、コード進行の枠を超えた自由なフレージングが魅力的。
「マインド・アンド・タイム」
ベースラインがしっかりと支えつつも、コールマンとチェリーのフレーズが絡み合う様子が実験的で面白い一曲。
「コンパッション」
タイトル通り、情感豊かな演奏が印象的。コールマン特有の、温かみのある音色が際立つ楽曲です。
「ギッギン」
疾走感のあるビートに乗せたハイテンションな演奏。ジャズの新たな可能性を感じさせるエネルギッシュな楽曲です。
「リジョイシング」
このアルバムの中でも特にアップテンポで躍動感のある一曲。リズム隊のドライブ感がたまりません。
「ロレイン」
より抽象的なアプローチを取った楽曲で、コールマンの音楽性が垣間見えるナンバーです。
「ターンアラウンド」
どこかブルースの影響を感じさせる、ユニークなアプローチが施された楽曲。
「エンドレス」
アルバムの締めくくりを飾る一曲。コールマンの音楽がどこへ向かうのか、その可能性が無限であることを示唆するような終わり方です。
まとめ｜『トゥモロウ・イズ・ザ・クエスチョン』はなぜ今も聴かれるのか？
本作は、ジャズの歴史において、「フリー・ジャズ」の礎を築いた重要なアルバムです。コード進行の束縛から解き放たれた新しいジャズの形は、当時のリスナーや批評家を驚かせましたが、のちに多くのミュージシャンに影響を与えました。
ジャズの概念を覆したオーネット・コールマンの革新を、ぜひ一度体感してください！ 🎷🔥
下記URLはYouTubeに”Tears Inside” by Ornette Colemanが上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=EAENjIdFGog&list=PLoDbB7_hSlWFaSUhrht8BQGtfJfkA3aUk
これから、徐々にステレオ録音（1958年前後～）、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・
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