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キャノンボール・アダレイ『イン・シカゴ』:ジャズ史を彩る名盤と即興の美学

キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ 趣味を通して感じる癒し

キャノンボール・アダレイ・クインテット『イン・シカゴ』:癒しと白熱が交錯する1959年の名盤

最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。

キャノンボール・アダレイ・クインテット『イン・シカゴ』:ジャズ史を彩る白熱のセッション
ジャズの名盤を語る際に欠かせない一枚が、キャノンボール・アダレイ・クインテット『イン・シカゴ』です。

1959年2月にシカゴで録音されたこのアルバムは、マイルス・デイヴィス・グループのメンバーとして活動していたアーティストたちが揃い、ジャズの黄金時代を象徴するような緊張感と創造性に満ちた演奏が収められています。

キャノンボール・アダレイ(アルトサックス)とジョン・コルトレーン(テナーサックス)の共演が繰り広げる熱いセッションは、今なお多くのジャズファンを魅了し続けています。

本記事では、この名盤の魅力、ジャズの時代背景、アーティスト紹介、収録曲の詳細を余すところなくお届けします。

『イン・シカゴ』の背景と概要

時代背景:ジャズの黄金時代

1950年代後半から1960年代にかけて、ジャズは新しい表現の可能性を模索し、進化の頂点に達していました。バップの流れを汲みつつも、モーダル・ジャズやハードバップといったスタイルが発展し、即興演奏とアンサンブルの融合が重視されていた時代です。

このアルバムが録音された1959年は、ジャズの歴史における特別な年でもあります。同年には、マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』、デイヴ・ブルーベックの『タイム・アウト』、チャールズ・ミンガスの『ミンガス・アー・アム』などが発表され、ジャズのモダンな方向性が決定づけられました。

そんな中で録音された『イン・シカゴ』は、マイルス・デイヴィス・グループのサイドメンであったキャノンボール・アダレイ、ジョン・コルトレーン、ウィントン・ケリー(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、ジミー・コブ(ドラム)が結集し、即興の美しさと緊張感を詰め込んだセッションアルバムです。

アルバムの概要

『イン・シカゴ』は、マイルス・デイヴィスのリーダーアルバムではありませんが、彼のグループの持つサウンドを反映した作品となっています。

特にキャノンボールとコルトレーンがフロントで繰り広げる対照的なプレイは圧巻で、メロディアスでスウィンギーなキャノンボールのプレイと、スピリチュアルで緻密なコルトレーンのアプローチが鮮烈に響き渡ります。

キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ

キャノンボール・アダレイとジョン・コルトレーン:対照的なサックスプレイヤー

キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)
キャノンボール・アダレイ(1928-1975)は、ジャズ史を代表するアルトサックス奏者の一人です。彼の演奏は、スウィンギーでリズミカル、そしてメロディアスなフレーズが特徴で、聴く人を心地よい空間へと誘います。マイルス・デイヴィス・グループでの活躍を経て、ソロ活動でも多くのヒット作を生み出しました。

ジョン・コルトレーン(John Coltrane)
ジョン・コルトレーン(1926-1967)は、モダンジャズの革命児とも言われるテナーサックス奏者です。深遠な探求心と情熱的な演奏スタイルで、ジャズの可能性を大きく広げました。『イン・シカゴ』では、彼の持つ鋭い即興性と複雑なフレーズが遺憾なく発揮され、キャノンボールとの対比が際立っています。

対照的な魅力

キャノンボールとコルトレーンの演奏スタイルは対照的ですが、それがこのアルバムの最大の魅力と言えます。キャノンボールの明るく歌うような音色と、コルトレーンの深く内省的なサウンドが絶妙に絡み合い、聴き応えのあるセッションを生み出しています。

収録曲の詳細と聴きどころ

1. ライムハウス・ブルース (Limehouse Blues)
アップテンポのスタンダードナンバーでアルバムが幕を開けます。キャノンボールとコルトレーンが交互にソロを取る構成で、それぞれの個性が際立つ演奏です。軽快なリズムの中にも緊張感が漂います。

2. アラバマに星落ちて (Stars Fell on Alabama)
このバラードでは、キャノンボールとコルトレーンがそれぞれ異なるアプローチで感情を表現します。キャノンボールの柔らかで歌うようなトーンに対し、コルトレーンの演奏は内省的でドラマチックです。

3. ワバッシュ (Wabash)
オリジナル曲「ワバッシュ」は、スウィンギーなリズムと明るい雰囲気が特徴です。キャノンボールの陽気なプレイが際立ち、リスナーを楽しませます。

4. グランド・セントラル (Grand Central)
このトラックはアルバムの中でも特に力強い演奏が聴ける一曲です。キャノンボールとコルトレーンの掛け合いが白熱し、リズムセクションの力強いサポートが曲を盛り上げます。

5. ユーアー・ア・ウィーヴァー・オブ・ドリームス (You’re a Weaver of Dreams)
静かなバラード曲で、演奏者たちの繊細な表現力が際立ちます。夜のリラックスタイムにぴったりな一曲です。

6. ザ・スリーパー (The Sleeper)
アルバムの最後を飾る曲は、エネルギッシュでダイナミックな演奏が特徴。全員のパフォーマンスが一体となり、アルバムを締めくくるのにふさわしいトラックです。

『イン・シカゴ』の魅力と癒し

『イン・シカゴ』は、ジャズの即興性やアンサンブルの妙を楽しめるだけでなく、キャノンボールとコルトレーンという2人のサックス奏者の対比が楽しめるアルバムです。キャノンボールの明るく親しみやすい演奏と、コルトレーンの深遠でスピリチュアルな音色の対比が、リスナーに癒しと感動を与えます。

また、バックを支えるリズムセクションも一流揃いで、特にウィントン・ケリーの流れるようなピアノ演奏はアルバム全体に彩りを与えています。日常の喧騒から解放され、豊かな時間を過ごしたいときにぴったりの一枚です。

『イン・シカゴ』は、ジャズ初心者からコアなファンまで楽しめる名盤です。その魅力を存分に味わいたい方にはぜひ一聴をおすすめします。

下記URLはYouTubeにLimehouse Bluesが上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=8aq5EVhEMnE&list=PLKjjIa7cwTkIyzaCmadqDC4WaC8ZPL_eO&index=1

これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・

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