ジャズピアノの傑作『Groovy』—レッド・ガーランドが紡ぐ至高のグルーヴと癒し
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
1950年代後半のジャズの時代背景とレッド・ガーランドの登場
1950年代後半は、ジャズがビバップからモード・ジャズ、ハードバップと進化し、多彩な表現が模索されていた時代でした。
この中で、ピアニストのレッド・ガーランドはその個性を確立し、特にマイルス・デイヴィス・クインテットのメンバーとして注目を集めました。
ガーランドのスタイルはシンプルで洗練されたブロックコードを主体とし、リズミカルかつファンキーなピアノプレイが特徴です。
マイルスがステージを降りるとガーランドがリーダーを務めるトリオ演奏が始まる、という光景も当時のファンにはお馴染みでした。そんな彼が全盛期に残した代表作が、アルバム『Groovy』です。
レッド・ガーランド『Groovy』の魅力
『Groovy』は、レッド・ガーランドが名門Prestigeレーベルからリリースした名盤で、ジャズピアノトリオの真髄が詰まった一枚です。
このアルバムは、1956年と1957年にニュージャージー州の名スタジオ、ルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオで録音されました。
共演者には、才能溢れるベーシストのポール・チェンバースとドラマーのアート・テイラーが名を連ねています。二人はマイルス・クインテットでも共演し、ガーランドのピアノとの相性は抜群でした。
アルバム収録曲の魅力とレビュー
C Jam Blues
デューク・エリントンの「C Jam Blues」を軽快なスウィングでカバー。シンプルなコード進行を活かし、ガーランドはブロックコードと単音メロディを巧みに織り交ぜて独自のグルーヴを展開。テイラーの絶妙なドラミングがアクセントを添え、聴く人を引き込むオープニングトラックです。
Gone Again
哀愁漂うメロディが特徴のバラード。ガーランドは抑制の効いた表現で、曲全体に品格を漂わせます。ここでのチェンバースのベースは、まるで語りかけるかのような抒情的なラインを奏で、ピアノとの掛け合いが絶妙です。
Will You Still Be Mine?
アップテンポな曲調が特徴的なこのナンバーでは、ガーランドのリズミカルなフレーズとチェンバースのウォーキング・ベースが生き生きと絡み合い、テイラーのダイナミックなドラミングが加わることで、曲全体がエネルギッシュな雰囲気に包まれます。
Willow Weep For Me
深みのあるブルースで、ガーランドが旋律に込めた哀愁が印象的。シンプルな中に豊かな感情がこもり、テキサスや南西部のブルースの影響が感じられる、ガーランドのルーツが垣間見える一曲です。
What Can I Say (After I Say I’m Sorry)?
軽やかで温かみのあるスタンダードナンバーで、ガーランドのユーモアと遊び心が光ります。テイラーのリズムも軽快で、トリオ全体が息の合った演奏を披露しています。
Hey Now
最後のトラック「Hey Now」は、アルバムを締めくくるにふさわしい、ファンキーでエネルギッシュな一曲。ガーランドのスウィンギーなリズムとテイラーのドラム、チェンバースのベースが絡み合い、聴く者の心を高揚させます。
レッド・ガーランドと『Groovy』の意義
『Groovy』は、ジャズピアノトリオのスタイルを極めた作品として、50年代のモダンジャズ史に欠かせない存在です。
このアルバムでは、マイルス・デイヴィスの「影の功労者」と称されることも多かったガーランドが、その陰影から抜け出し、独自の個性を発揮しています。
リスナーは、彼の繊細でありながらもパワフルな演奏と、チェンバース、テイラーとの絶妙なアンサンブルを存分に楽しむことができるでしょう。
まとめ
レッド・ガーランドの『Groovy』は、ジャズファンにとって外せない名盤のひとつです。気軽に聴けるようでありながら、聴くたびに新しい発見がある奥深い作品。彼のピアノプレイが織りなす豊かなグルーヴと、アンサンブルの美しさが際立つこのアルバムは、時代を超えて愛される一枚として、癒しと感動を与えてくれるでしょう。
ジャズやピアノトリオの魅力をじっくり堪能したい方は、ぜひ一度レッド・ガーランドの『Groovy』をお聴きください。
下記URLはYouTubeにC-Jam Blues (Rudy Van Gelder Remaster 2008)が上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=wOoYsvQvSmI&list=PLpBKS47q7J6fDaNfmmZ-FN5v4fIge2ttZ
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・