心を癒すクリスマスジャズの名盤|エラ・フィッツジェラルド『Ella Wishes You A Swinging Christmas』デラックス盤を聴く幸福
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
ジャズとクリスマスが紡ぐ、癒しの時間
アップの時期がずれてしまいましたが、今年の年末でご参考になれば幸いです。
冬の空気が少しずつ冷たくなり、街がイルミネーションに包まれ始めると、自然と聴きたくなる音楽があります。それがクリスマス・ジャズ。中でも、ジャズ界の伝説的ボーカリストエラ・フィッツジェラルドが1960年に発表した名盤『Ella Wishes You A Swinging Christmas』は、多くの音楽ファンにとって、ホリデーシーズンの定番です。
2023年には、この歴史的なアルバムに未発表音源を追加したデラックス・エディションがリリースされ、再び注目を集めています。この記事では、ジャズの時代背景とともに、エラの魅力、そしてこのアルバムがなぜ「癒し」の時間にふさわしいのかを紐解いていきます。
ジャズの黄金時代とエラ・フィッツジェラルドという存在
エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)は、1917年にヴァージニア州で生まれ、1934年にアポロ・シアターのタレントコンテストでその才能を発見されたことをきっかけに、音楽の道へ進みました。
1940〜50年代は、ジャズの黄金時代。スウィング、ビバップ、そしてスタンダードジャズが花開き、アメリカ全土がジャズのリズムに酔いしれていました。その中でも、エラは「ファースト・レディ・オブ・ソング(The First Lady of Song)」と称されるほど、圧倒的な歌唱力とスキャットの技術で世界中を魅了しました。
エラの音楽の魅力は、単なるテクニックにとどまらず、「どんな楽曲でも、心を込めて自分のものにする」その姿勢にあります。彼女の歌声は、リスナーの心にまっすぐ届き、時に優しく、時に力強く包み込んでくれます。
Ella Wishes You A Swinging Christmas』の魅力とは?
1960年にヴァーヴ・レコードからリリースされたこのアルバムは、エラにとって唯一のクリスマス・アルバムであり、当時としては非常に意欲的な試みでした。
全体的にスウィングを基調とした軽快で明るいアレンジが施されており、ただのクリスマスソングのカバーではなく、ジャズ・ヴォーカルの真髄を味わえる作品に仕上がっています。ホリデーソングという枠を超え、「幸福感」「心の安らぎ」「家族のぬくもり」といった感情を呼び起こすのが、エラの表現力なのです。
デラックス・エディションの内容詳細
2023年にリリースされたデラックス・エディション(2LP)では、以下のような豪華な内容が追加されています。
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LP2には、ヴァイナル初収録の未発表トラックを含む全6曲を収録
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1960年オリジナルアートワークをアレンジしたゲイトフォールド・ジャケット
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詳細なセッション・ノートと、音楽ジャーナリストウィル・フリードワルドによるエッセイを掲載した8ページのブックレット
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切り絵のホリデー・オーナメント・シート付き
特に注目すべきは、オルタネイト・テイク(別録音版)の収録です。たとえば「Frosty the Snowman」や「White Christmas」は、異なるニュアンスで歌い直されており、エラの即興性や感情表現の幅広さを堪能できます。
トラックリストと聴きどころ解説
🎶 Side A & B(オリジナル盤より)
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Jingle Bells
スウィング感が心地よく、まさに“ジャズ版ジングルベル”。イントロからテンションが上がる。 -
Santa Claus Is Coming to Town
軽快なテンポとエラの愛嬌たっぷりの歌い回しで、子どもも大人も楽しめる。 -
Have Yourself a Merry Little Christmas
落ち着いた雰囲気で、エラの柔らかな声が心に染みるバラード。 -
What Are You Doing New Year’s Eve?
ややセクシーな雰囲気が漂う、恋人たちの年末を描いたロマンチックな一曲。 -
Sleigh Ride / The Christmas Song / Let It Snow!
冬の情景を鮮やかに彩る名曲たち。どれもエラならではの“温かさ”が感じられる。
🎶 Side C & D(デラックス盤追加曲)
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The Secret of Christmas
隠れた名曲。しっとりとしたアレンジで、クリスマスの“本当の意味”を優しく語りかける。 -
Medley: We Three Kings of Orient Are / O Little Town of Bethlehem
宗教的な深みと、エラの敬虔な姿勢が伝わる1曲。 -
Christmas Island
ユニークなトロピカル・ホリデーソング。リズムが楽しく、何度でも聴きたくなる。
なぜこのアルバムが「癒し」なのか
現代の私たちは、毎日多くの情報にさらされ、心が疲弊しがちです。そんな中で、エラ・フィッツジェラルドのこのアルバムは、音楽によるセラピーとも言える存在です。
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ノスタルジックなアレンジ
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温かく包み込む歌声
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家族や大切な人との時間を思い出させる曲構成
この3つの要素が重なり、まるでホットチョコレートを飲んでいるような安心感を与えてくれます。
まとめ|今だからこそ聴きたい、永遠のクリスマス・ジャズ
『Ella Wishes You A Swinging Christmas』は、単なる季節のアルバムではありません。そこにはエラ・フィッツジェラルドという一人のアーティストの深い愛情とユーモア、そしてリスナーへの癒しが詰まっています。
ジャズに詳しくない方でも、気軽に楽しめる1枚ですし、アナログ盤でじっくり聴くことで、日常の中に小さな贅沢な時間を取り入れることができます。
ぜひ今年の冬は、レコードプレーヤーの前にキャンドルを灯し、エラの歌声に耳を傾けてみてください。
🌟あわせておすすめ:
ジャズ初心者にも聴きやすいホリデーアルバムとして、Tony BennettやNat King Coleの作品も合わせてチェックしてみてください。
下記URLはYouTubeにJingle Bellsが上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=Z4VCjTecHyA&list=PLN2mONXwJZDyLEJdXNDGnLf4PvdL4i6tW
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・
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