リー・モーガン『Vol.3 +1』|ジャズの名盤で感じる癒しと1950年代のモダンジャズの魅力
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
ジャズの黄金時代と『Vol.3 +1』が生まれた背景
1950年代後半、ジャズはより自由で創造的な表現が追求されるモダンジャズの時代を迎えました。バップからハードバップへの移行期に、多くのアーティストがジャズの新たな境地を模索し、情感やリズムが重視されるスタイルが確立されました。
その流れの中で、若干19歳のリー・モーガンが登場し、トランペットプレイヤーとしての才能を示しました。彼のアルバム『Vol.3 +1』は、モダンジャズの精神とフィラデルフィア・サウンドが見事に融合した一枚です。
リー・モーガンと『Vol.3 +1』の魅力
リー・モーガンは、フィラデルフィア出身の若き天才トランペッターとしてその名を知られ、ブルーノート・レーベルから多くの名盤を生み出しました。その中でも『Vol.3 +1』は、特に多くのジャズファンに愛され続けています。
本作の制作には、モーガンの同郷であるベニー・ゴルソンが全曲の作曲と編曲を担当。ゴルソンのメロディメーカーとしての才能が、本作の随所で光ります。
特に「クリフォードの想い出(I Remember Clifford)」は、モーガンが憧れていた先輩トランペッター、クリフォード・ブラウンに捧げた感動的なバラードで、聴く人に深い余韻を残します。
『Vol.3 +1』収録曲解説
ハサーンズ・ドリーム (Hasaan’s Dream)
アルバムの幕開けを飾る曲で、力強い演奏が特徴的です。独特のリズムとグルーヴ感が引き立つこの曲では、モーガンのエネルギッシュなトランペットが印象的です。
ドミンゴ (Domingo)
心地よいミディアムテンポのナンバーで、モーガンとゴルソンの息の合った演奏が楽しめます。曲全体を通して漂うメロディアスなラインは、リスナーを穏やかな気分にさせてくれます。
クリフォードの想い出 (I Remember Clifford)
本アルバムの中でも特に評価が高いバラード。この曲は、リー・モーガンにとってのアイドルであったクリフォード・ブラウンに捧げられたもので、哀愁漂うトランペットが聴く人の心に深く響きます。
メサビ・チャント (Mesabi Chant)
リズミカルでエキゾチックな雰囲気を持つ一曲。各プレイヤーが個性を発揮しながらも、バンド全体が一体感を持って進んでいくさまが楽しめます。
ティップ・トーイング (Tip-Toeing)
軽快なメロディラインが特徴の一曲。モーガンのトランペットが小気味良くリードし、ポール・チェンバースのベースラインとチャーリー・パーシップのドラムが支えています。
ティップ・トーイング (別テイク) (Tip-Toeing – Alt.Take)
最後には、ティップ・トーイングの別テイクが収録されています。異なるテイクによる演奏のニュアンスの違いを聴き比べるのも本アルバムの楽しみ方の一つです。
アルバムの聴きどころとまとめ
『Vol.3 +1』は、リー・モーガンの初期キャリアにおけるハイライトであり、ジャズファンなら一度は聴くべき名盤です。
共演者には、ジャズ界で名を馳せたジジ・グライス(アルトサックス)、ベニー・ゴルソン(テナーサックス)、ウィントン・ケリー(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、チャーリー・パーシップ(ドラムス)といった豪華メンバーが揃い、それぞれがモーガンを支えながらも個々の魅力を放っています。
リー・モーガンの若き日のエネルギッシュなプレイと、ジャズ界の巨匠たちが織りなすハーモニーは、1957年という時代を超えて、今なお色褪せることなく多くのリスナーに感動を与えています。
下記URLはYouTubeにHasaan’s Dream (Rudy Van Gelder Edition/2007 Digital Remaster)が上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=8JHctuyUgmo&list=PLEyxWPyoryRJyzOg1siX0bO_XbV3OltBV
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・