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マイルス・デイヴィス『コレクターズ・アイテムズ』で味わうハード・バップの黄金期 – チャーリー・パーカーとソニー・ロリンズとの貴重な共演を徹底解説

コレクターズ・アイテムズ 趣味を通して感じる癒し

マイルス・デイヴィス『コレクターズ・アイテムズ』—ジャズ巨匠たちが織り成す1950年代の貴重セッションを堪能

コレクターズ・アイテムズ

最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。

JAZZの時代背景とアルバムの重要性

1950年代初頭、ジャズ界はビバップの時代から、より洗練された表現を求めるハード・バップの時代へと移行していました。

ビバップが高速かつ複雑な即興演奏を特徴としていたのに対し、ハード・バップはよりブルースやゴスペルの影響を受けた親しみやすいリズムとフレーズを取り入れ、豊かな音楽的表現を追求したスタイルとして発展しました。

この変化の中心にいたのが、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)。彼は、ジャズのスタイルを時代ごとに変革させ続けた革新者であり、トランペット奏者としてだけでなく、バンドリーダー、作曲家、編曲家としても数々の名盤を生み出しました。

1950年代のマイルスは、彼自身のスタイルを模索し、他のアーティストと積極的にセッションを重ねることで、ハード・バップの初期から中期にかけてジャズの進化に大きな影響を与えました。

そんな彼がリリースした『コレクターズ・アイテムズ(Collector’s Items)』は、1953年と1956年に行われた2つのセッションを収めたアルバムで、ハード・バップの胎動を感じさせる作品です。

本作には、当時の若手テナーサックス奏者のソニー・ロリンズ、そしてビバップの伝説的存在であるチャーリー・パーカーが参加しており、ジャズ史においても貴重なセッションとして位置づけられています。

アーティスト紹介:マイルス・デイヴィス

マイルス・デイヴィス(Miles Davis, 1926年 – 1991年)は、20世紀のジャズにおいて最も影響力のあるアーティストのひとりです。彼のキャリアは、ビバップ、ハード・バップ、モードジャズ、さらにはフュージョンまで多岐に渡り、それぞれの時代で革新的なスタイルを提示してきました。

1950年代、マイルスは新たな音楽的探求のために様々なセッションを行い、多くの優れたミュージシャンたちと共演しました。その中でも特筆すべきは、本作『コレクターズ・アイテムズ』に参加したチャーリー・パーカーとの共演です。

パーカーは、マイルスの若い頃からの師であり、ビバップスタイルを確立した天才サックス奏者です。また、若きソニー・ロリンズの成長も感じられる本作は、まさにハード・バップの発展期を捉えた貴重な記録と言えるでしょう。

『コレクターズ・アイテムズ』のアルバム紹介

『コレクターズ・アイテムズ』は、1953年と1956年の2つのセッションを収めた、ジャズファン垂涎のアルバムです。このアルバムは、ジャズの歴史において重要な瞬間を捉えており、特にチャーリー・パーカーが「チャーリー・チャン」という変名でテナーサックスを演奏している点は大きな魅力です。

パーカーは通常アルトサックスを専門としていますが、ここでは珍しくテナーサックスを吹いており、彼の異なる一面を垣間見ることができます。

また、ソニー・ロリンズ(テナーサックス)は1953年のセッションではまだ若手でしたが、1956年のセッションでは大きく成長し、マイルスと肩を並べる演奏を披露しています。

ウォルター・ビショップ Jr.とトミー・フラナガンという異なるピアニストの参加も、2つのセッションを鮮やかに対比させており、それぞれのセッションの魅力を引き立てています。

アルバム収録曲の魅力

蛇の歯 (Take 1)
テーマのシンプルさとは裏腹に、即興演奏における各ミュージシャンの駆け引きが堪能できるトラックです。パーカーとロリンズの掛け合いが見どころであり、マイルスのミュートトランペットが音楽全体に緊張感を与えています。

蛇の歯 (Take 2)
同じテーマでの別テイクですが、ソロの内容やアプローチが異なり、即興演奏の面白さを感じさせる仕上がりです。即興演奏の妙を楽しめる1曲。

ラウンド・ミッドナイト
セロニアス・モンクの名曲をマイルスが解釈し、彼の持つメランコリックなトーンを全面に押し出した名演です。哀愁漂うトランペットの音色が心に沁みわたります。

コンパルション
リズムの緻密な構成が光る1曲で、アート・テイラーのドラムスが特に印象的です。マイルスと共にリズムセクションが複雑なサウンドを展開し、聴きごたえのある演奏です。

ノー・ライン
この曲では、ロリンズとパーカーのサックスが主役。2人のサックスが絡み合いながら、スリリングな演奏を繰り広げます。

ヴァイアード・ブルース
ブルースを基調としたこの楽曲は、マイルスの抑制されたトランペットが光ります。彼の音楽における「間」の使い方が感じられるトラックです。

イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ
デイヴ・ブルーベックのスタンダード曲を、マイルスの解釈で再構成した1曲。洗練されたサウンドと、各ミュージシャンの高度なテクニックが堪能できます。

『コレクターズ・アイテムズ』の評価

『コレクターズ・アイテムズ』は、マイルス・デイヴィスの幅広い音楽性を示すと同時に、ビバップからハード・バップへと移り変わる1950年代のジャズの潮流を記録した貴重なアルバムです。

特に、ビバップの巨匠チャーリー・パーカーと、次世代のスターであるソニー・ロリンズとの共演は、ファンにとっても特別な価値を持っています。1953年と1956年のセッションを比較することで、ジャズのスタイルがどのように変遷していったかを体感することができる作品です。

マイルス・デイヴィスのファンはもちろん、ジャズの歴史を学びたいリスナーにとっても必聴のアルバムといえるでしょう。

まとめ

『コレクターズ・アイテムズ』は、ジャズ界の巨人たちが共演した奇跡的なセッションを記録した、1950年代ジャズの貴重な一枚です。マイルス・デイヴィスの洗練されたトランペット、チャーリー・パーカーの情熱的なサックス、そしてソニー・ロリンズの斬新で力強い演奏が融合し、まさに時代を象徴する音楽的瞬間が生まれました。

このアルバムは、単なるセッションを超えて、ジャズの進化と多様性を見事に表現しており、音楽的実験の証として後世に残るべき重要な作品です。ジャズの黄金時代を感じられる本作は、コレクターや新しいリスナーにとっても必聴の一枚と言えるでしょう。

下記URLはYouTubeにCollector’s Items – Miles Davis – (Full Album)が上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=Y-Cjrsw2Q4M

これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・

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