バード・フェザーズ』:フィル・ウッズら5人のパーカー継承者による名演を解説
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
至高のジャズアルバム『バード・フェザーズ』:フィル・ウッズらパーカーの申し子たちによる名演集を徹底解説!
ジャズの時代背景と『バード・フェザーズ』の位置づけ
1950年代後半、ジャズはハードバップの時代を迎え、ビバップの流れを汲む音楽がさらに洗練されていきました。チャーリー・パーカー(通称「バード」)によって確立されたビバップの革命的なスタイルは、サックス奏者たちの演奏技術や即興性の新たな基準を築き、後の世代に多大な影響を与えました。
アルバム『バード・フェザーズ』(Bird Feathers)は、まさにその「バード」の遺産を受け継ぐ、5人のアルトサックス奏者による名演を集めた貴重なセッションです。1957年のニュージャージーで録音され、プレスティッジ・レーベルからリリースされたこの作品は、当時の最高峰のアーティストたちが織り成すインタープレイが堪能できます。
アーティスト紹介:フィル・ウッズとパーカーの遺産
フィル・ウッズ(Phil Woods)は、チャーリー・パーカーの後継者と称された伝説的なアルトサックス奏者です。洗練された音楽理論に基づくソロと、感情豊かな演奏スタイルで知られるウッズは、ジャズ界においてビバップの継承者として高く評価されています。
また、共演するジーン・クイル(Gene Quill)もフィル・ウッズと並び称されるアルト奏者で、彼とのバトルはファン垂涎の名場面です。
さらに、ジャッキー・マクリーンやジョン・ジェンキンスといったビバップの次世代を担うアーティスト、そしてハル・マクシックらが参加し、それぞれの個性が絶妙に融合しています。これらの奏者たちは皆、「パーカーの申し子」として、バードの遺した芸術的な軌跡をさらに進化させています。
アルバム『バード・フェザーズ』の収録内容と魅力
『バード・フェザーズ』は、3つの異なるセッションで録音され、各セッションごとに異なるメンバーが参加しています。これにより、多彩な音楽的アプローチが一枚に凝縮されています。
収録曲とセッションメンバー
Solar (MONO)
フィル・ウッズ & ジーン・クイル(アルトサックス)が織りなすバトルが魅力の一曲。ハードバップのエネルギーと緻密なアンサンブルが印象的です。
ピアノにはジョージ・サイラン、ベースにテディ・コティック、ドラムにニック・スタビュラスが参加し、サックスを引き立てるリズムセクションが秀逸。
Bird Feathers (MONO)
アルバムタイトル曲であり、マクリーンとジェンキンスの丁々発止のやりとりが見どころです。二人のバードへのオマージュが垣間見えるプレイは感動もの。
Interim (MONO)
ハル・マクシックのワン・ホーンで展開されるスローでメロウなナンバー。ビリー・バイアーズのトロンボーンとエディ・コスタのピアノが、曲に豊かなハーモニーを与えています。
Airgin (MONO)
フィル・ウッズとジーン・クイルによる、ダイナミックな演奏が光るアップテンポのナンバー。マイルス・デイヴィスにも通じる緊張感あふれる構成が魅力です。
Don’t Worry About Me (MONO)
ハル・マクシックのアルトサックスによるソロが心に染みるバラード曲。哀愁漂う演奏が、聴く者の感情を揺さぶります。
Con Alma (MONO)
最後を締めくくるのは、ハル・マクシックのプレイによるディジー・ガレスピー作の名曲。ビートの緩急が際立つ構成で、全体のフィナーレにふさわしい一曲。
『バード・フェザーズ』が生む癒しと感動の理由
このアルバムの最大の魅力は、異なるアーティストたちがバードの遺産を継承し、それぞれの個性を存分に発揮している点にあります。エネルギッシュな演奏と哀愁漂うメロディの対比は、聴く者に深い癒しと感動を与えます。また、1950年代のジャズの息吹をそのまま切り取ったような録音は、時代を超えて愛され続ける普遍的な美しさを感じさせます。
特に「Solar」や「Bird Feathers」などのアップテンポな楽曲は元気を与え、「Don’t Worry About Me」のようなスローな楽曲は心を穏やかにする効果があります。
下記URLはYouTubeにPhil Woods, Gene Quill, Jackie McLean, John Jenkins, Hal McKusick Bird Feathersが上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=lvXffq84gd0
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・