ズート・シムズの『ダウン・ホーム+6』で感じるジャズの癒し|スウィング黄金時代の名演を聴く贅沢な時間
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
イントロダクション
日常の喧騒を忘れ、心をゆったりと解きほぐす音楽が欲しい、そんなとき、あなたにおすすめしたいのがズート・シムズの名盤『ダウン・ホーム+6(Down Home +6)』です。
本作は1960年、ニューヨークで録音されたテナーサックス奏者ズート・シムズによるワン・ホーン・カルテット編成の名演。カウント・ベイシー楽団やアメリカのスタンダード・ポップスにインスパイアされたスウィングジャズのエッセンスが詰まっています。
音楽の趣味として、そして癒しのひとときとして、ジャズという芸術を生活に取り入れてみませんか? 本記事では、『ダウン・ホーム+6』の楽曲解説、演奏者紹介、時代背景などを丁寧に紹介していきます。
ジャズとスウィングの時代背景:1950~60年代のニューヨーク
1950年代から1960年代初頭のアメリカは、ジャズが黄金時代を迎えていた時期です。特にニューヨークは、ジャズの最前線。クールジャズ、ハードバップ、そしてビッグバンドの余韻を引き継ぐスウィングスタイルが共存していました。
この時代のジャズマンたちは、自由で柔軟な即興演奏に加え、リスナーが心地よくスウィングできるような「グルーヴ感」を重要視していました。ズート・シムズもその流れを代表する一人。彼の音楽には、ビバップやクールジャズの知的さと、スウィングの親しみやすさが絶妙に共存しています。
アーティスト紹介:Zoot Sims(ズート・シムズ)
“ザ・スウィンガー”の異名を持つズート・シムズ(Zoot Sims)は、1925年アメリカ・カリフォルニア生まれ。彼のテナーサックスは柔らかく温かみがありながら、エネルギッシュなスウィング感が特徴です。
1940年代にはウディ・ハーマン楽団の一員として名を上げ、後にはジェリー・マリガンらと共にウエストコースト・ジャズにも貢献しました。彼は派手さはないものの、その音楽性は一流。決して技巧に走ることなく、自然なグルーヴで聴く者の心を掴みます。
『ダウン・ホーム+6』の魅力と編成
本作は、ズート・シムズのテナーサックスに、デイヴ・マッケンナ(ピアノ)、ジョージ・タッカー(ベース)、ダニー・リッチモンド(ドラムス)という強力なリズムセクションが加わったワン・ホーン・カルテット編成。
ホーンが1本であることにより、ズートのサックスがメロディー、即興、リーダーシップのすべてを担い、その分、彼の魅力が際立つ構成となっています。
また、選曲も非常に親しみやすく、カウント・ベイシー楽団の「ジャイヴ・アット・ファイヴ」や「ドッギン・アラウンド」、ベニー・グッドマンの愛奏曲「アヴァロン」など、往年の名曲が中心。
主な収録曲解説と聴きどころ
ジャイヴ・アット・ファイヴ
カウント・ベイシー楽団の名演でも知られるナンバー。軽快なテンポでズートのスイング感が存分に発揮されています。
ドッギン・アラウンド
ブルースベースのミドルテンポナンバー。リズムセクションとの絶妙な掛け合いが聴きどころです。
アヴァロン
クラリネットで有名なベニー・グッドマンのレパートリーを、テナーサックスで柔らかく表現。懐かしさと新鮮さが共存。
アイ・クライド・フォー・ユー
しっとりとしたバラード。ズートの抑制された表現力が光る1曲です。
ビル・ベイリー
明るく陽気なスタンダード。ジャズの持つユーモアを感じさせてくれます。
グッドナイト・スウィートハート
夜の終わりにふさわしい、温かみのある演奏。癒しの時間にぴったり。
(ボーナストラックは各楽曲の別テイクで、演奏の違いや即興の変化を楽しむことができます)
なぜこのアルバムが「癒し」になるのか
ズート・シムズの演奏には、聴く人の心を落ち着かせる力があります。音数が少なく、自然なフレージング、どこまでもリラックスしたグルーヴ。
このアルバムを聴いていると、まるで静かな夜にカフェでジャズを聴いているかのような穏やかな時間が流れます。趣味としての「音楽鑑賞」が、日常の癒しに直結する瞬間です。
音質とパッケージ:リマスター版の魅力
2017年リリースのUHQCD(Ultimate High Quality CD)版は、24bitの最新マスタリングが施されており、音の輪郭が非常にクリア。オリジナルジャケットも忠実に再現されており、コレクター心も満たしてくれます。
完全限定生産品なので、手元に置いておきたい1枚です。
【まとめ】
ズート・シムズの『ダウン・ホーム+6』は、音楽を「趣味」として楽しみたい方にとって、また日々の生活に癒しを求めるすべての人にとって最高の一枚です。
1960年代の温もりある音色、軽快で心地よいスウィング、そしてジャズの魅力がたっぷり詰まったこのアルバムを、ぜひあなたのプレイリストに加えてみてください。
下記URLはYouTubeにJive At Fiveが上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=pzDDHgD-IEs&list=PLfJndz0utgONxP3HK4Vu3tn3q6OGmVpM4
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・