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スティーミン・ウィズ・ザ・マイルス・デイビス・クインテット:マイルス・デイビスの名盤を徹底解説

スティーミン 趣味を通して感じる癒し

スティーミン・ウィズ・ザ・マイルス・デイビス・クインテット – ジャズの名盤を徹底解説

スティーミン

最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。

ジャズの時代背景とマイルス・デイビスの影響力

1950年代半ば、ジャズはモダン・ジャズの黄金期を迎えていました。ビバップの洗練されたサウンドが進化し、より複雑なコード進行や即興性が求められる中で、トランペット奏者のマイルス・デイビスは、独自のミュート奏法とシンプルでエモーショナルな演奏スタイルでシーンに革命をもたらしました。

1956年、プレスティッジ・レーベルとの契約を消化するために行われた「マラソン・セッション」は、わずか2日間で4枚ものアルバムを生み出しました。その中でも、『スティーミン・ウィズ・ザ・マイルス・デイビス・クインテット』は特に注目すべき作品のひとつです。

マイルス・デイビスのプロフィール

マイルス・デイビス(Miles Davis, 1926年-1991年)は、20世紀の音楽史において最も重要なジャズ・ミュージシャンの一人です。

彼は、バンドリーダーとしても優れた才能を発揮し、時代ごとに異なるスタイルを追求することで、ビバップからハードバップ、さらにはクール・ジャズ、フュージョンへと至るジャズの進化に大きく貢献しました。

特に1950年代後半の彼のクインテットは、ジョン・コルトレーン、レッド・ガーランド、ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズという精鋭を揃えた、ジャズ史に残る最強のメンバーで構成されています。

アルバム『スティーミン・ウィズ・ザ・マイルス・デイビス・クインテット』の概要

本作『スティーミン・ウィズ・ザ・マイルス・デイビス・クインテット』は、1956年5月11日と10月26日のマラソン・セッションで録音された4部作の一つで、他の「クッキン」「リラクシン」「ワーキン」と並んでリリースされました。

マイルスのオープン・トランペットと、彼の代名詞ともいえるミュートを駆使したプレイが、曲ごとに対照的な魅力を放っています。

1. 飾りのついた四輪馬車 (Surrey with the Fringe on Top)

アルバムのオープニングを飾る「飾りのついた四輪馬車」は、ブロードウェイ・ミュージカル『オクラホマ!』の楽曲をジャズにアレンジしたものです。マイルスの繊細なミュート・トランペットが、軽快かつメロディアスに曲を進行させ、リズムセクションが巧みにサポートします。

2. ソルト・ピーナッツ (Salt Peanuts)

ディジー・ガレスピーが作曲したビバップの代表曲「ソルト・ピーナッツ」は、アップテンポで進行し、マイルスとコルトレーンの掛け合いがスリリングに展開されます。フィリー・ジョー・ジョーンズのドラムスが全体を引き締め、クインテットの一体感を感じさせます。

3. サムシング・アイ・ドリームド・ラスト・ナイト (Something I Dreamed Last Night)

「サムシング・アイ・ドリームド・ラスト・ナイト」は、バラードの名曲として知られ、マイルスの抒情的なトランペットがリスナーの心に深く響きます。この曲では、レッド・ガーランドのピアノが特に印象的で、繊細なタッチがメロディを優しく包み込みます。

4. ダイアン (Diane)

「ダイアン」は、しっとりとしたバラードであり、マイルスのトランペットが美しく歌い上げられます。ここでも、ガーランドのピアノとポール・チェンバースのベースが、心地よいハーモニーを形成し、マイルスのサウンドを引き立てます。

5. ウェル・ユー・ニードント (Well, You Needn’t)

セロニアス・モンク作曲の「ウェル・ユー・ニードント」は、アップテンポでダイナミックな演奏が繰り広げられます。ここでは、マイルスとジョン・コルトレーンの即興演奏が白熱し、リスナーを圧倒するエネルギーに満ちています。

6. ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ (When I Fall in Love)

アルバムのラストを飾る「ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ」は、スタンダード・バラードの中でも特に人気の高い曲です。マイルスの抒情的な演奏が際立ち、聴く者の感情を揺さぶるこの名演は、彼のミュートトランペットが非常に効果的に使用され、深い感動を呼び起こします。

マラソン・セッションの背景と重要性

1956年、マイルス・デイビスはプレスティッジとの契約を終了させるため、わずか2日間で4枚のアルバムを録音するという驚異的なマラソン・セッションを敢行しました。

このセッションでは、事前に準備された楽譜や編曲がなく、メンバーたちの即興演奏に依存していましたが、それこそがマイルスのクインテットの強みでもありました。

特に、マイルスとジョン・コルトレーンという2人の巨人が織りなすサウンドの対照性は、この時期のジャズを語る上で外せない要素です。

クインテットのメンバー

このアルバムに参加したマイルス・デイビス・クインテットのメンバーは、それぞれが一流のプレイヤーであり、個々の演奏がアルバム全体の完成度を高めています。

ジョン・コルトレーン(テナー・サックス):彼のソロは、強烈でダイナミックなフレージングが特徴的。

レッド・ガーランド(ピアノ):洗練されたピアノプレイで、マイルスのトランペットを美しく支えます。

ポール・チェンバース(ベース):安定感のあるベースラインで、全体を支える屋台骨。

フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラムス):アグレッシブでいて繊細なドラミングが、演奏のテンションを高めています。

まとめ

『スティーミン・ウィズ・ザ・マイルス・デイビス・クインテット』は、マイルスの最もクリエイティブな時期に生まれた傑作であり、ジャズファンにとっては必聴の一枚です。

このアルバムは、マイルスのオープン・トランペットとミュート・トランペットのコントラストが際立ち、彼の音楽的多様性を感じることができます。また、マイルスとコルトレーンという2人の巨匠が繰り広げる即興演奏は、何度聴いても新しい発見があります。

ジャズの歴史に名を残すクインテットの熱気を感じることができる本作は、今なお色褪せることのない名盤です。

下記URLはYouTubeにSteamin’ with the Miles Davis Quintet – MIles Davis Quintet – (Full 1989 Reissue)が上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=qy054fu7nq8&t=2030s

これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・

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