ジャズの巨匠ジャッキー・マクリーンによるブルースの深みと美しさ—『ア・ロング・ドリンク・オブ・ザ・ブルース
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
JAZZの時代背景とアルバムの意義
1950年代後半は、ジャズが一層多様化し、ブルースの深みとモダンな感覚が融合する重要な時期でした。この時代、ジャズは即興演奏の魅力を追求するだけでなく、聴く人の心に訴えかけるようなエモーショナルな表現が強調されるようになりました。
ジャッキー・マクリーンは、そんな時代の最前線に立つアルト・サックス奏者として、ブルースやバラードの情感を深く掘り下げた演奏を特徴としていました。
1957年にリリースされたアルバム『ア・ロング・ドリンク・オブ・ザ・ブルース』は、彼の多彩な才能を存分に発揮した作品であり、ブルースをテーマにした表題曲とバラードの名演が特に高く評価されています。
アーティスト紹介:ジャッキー・マクリーン
ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)は1931年、ニューヨークに生まれたアルト・サックス奏者です。若き日にチャーリー・パーカーと親交を結び、その影響を受けつつも、独自のスタイルを確立しました。
彼はアート・ブレイキーやチャールス・ミンガスといったジャズの巨匠たちと共演し、その後、ソロアーティストとして活動を本格化。特にブルースをベースとした演奏や、エモーショナルで力強いアルトサックスの音色で知られています。
マクリーンの音楽は、時にリスナーを包み込むような優しさを持ちながら、強靭でダイナミックな面も併せ持っています。このアルバムは、彼のそうした二面性を堪能できる一枚です。
アルバム『ア・ロング・ドリンク・オブ・ザ・ブルース』の詳細解説
録音情報
録音日: 1957年2月15日および8月
スタジオ: ルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオ
レーベル: プレスティッジ
参加メンバー
ジャッキー・マクリーン (アルトサックス、テナーサックス)
タイトル曲セッション
ウェブスター・ヤング (トランペット)
カーティス・フラー (トロンボーン)
ギル・コギンズ (ピアノ)
ポール・チェンバース (ベース)
ルイ・ヘイズ (ドラムス)
バラードセッション
マル・ウォルドロン (ピアノ)
アーサー・フィリップス (ベース)
アート・テイラー (ドラムス)
収録曲と聴きどころ
ア・ロング・ドリンク・オブ・ザ・ブルース (テイク1 & 2)
アルバムのタイトル曲であり、マクリーンのブルースへの深い理解が表れた作品です。テナーサックスとアルトサックスの両方で演奏する貴重な機会を捉え、彼の表現力の幅広さを示しています。曲全体がリスナーを引き込むドラマチックな構成になっており、特にテイクの違いを聴き比べる楽しさがあります。
エンブレイサブル・ユー
ガーシュウィン兄弟の名曲をジャズバラードとしてアレンジした一曲。マクリーンのアルトサックスの音色は、甘美でありながらどこかほろ苦さを感じさせ、心を癒します。
アイ・カヴァー・ザ・ウォーターフロント
ビリー・ホリデイの名唱でも知られるこの曲を、マクリーンは彼自身の解釈で語るように演奏しています。叙情的でメロディアスなプレイが光ります。
ジーズ・フーリッシュ・シングス
原曲のロマンティックな雰囲気を維持しながら、マクリーンらしいエッジの効いた演奏が楽しめる一曲です。
このアルバムが持つ特別な魅力
『ア・ロング・ドリンク・オブ・ザ・ブルース』は、単なるブルースアルバムを超えた作品です。マクリーンの演奏は、テクニック以上に感情が前面に出ており、聴く人の心を掴んで離しません。ブルース曲では緊張感と解放感のバランスが絶妙で、バラードでは彼のエモーショナルな一面が存分に堪能できます。
また、共演者たちの演奏も素晴らしく、ポール・チェンバースのベースラインや、マル・ウォルドロンの繊細なピアノプレイが、アルバム全体のクオリティを一層高めています。
おすすめポイント
ジャッキー・マクリーンによるアルトとテナーの両方を聴ける貴重なアルバム。
バラードの名演が疲れた心に癒しをもたらす。
ジャズ初心者にもおすすめの聴きやすさと奥深さを兼ね備えた一枚。
『ア・ロング・ドリンク・オブ・ザ・ブルース』は、静かな夜にリラックスして聴くのにぴったりなアルバムです。マクリーンの音楽の魅力に触れる最初の一歩としてもおすすめです。
下記URLはYouTubeにJackie McLean Sextet – A Long Drink of the Bluesが上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=Dp-uY_uOpPw
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・