ジャッキー・マクリーン『ライツ・アウト!』:プレスティッジでの輝かしいデビュー作とその魅力を徹底分析
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
ジャズの時代背景とハード・バップの誕生
1950年代半ば、アメリカの音楽シーンは大きな変革期を迎えていました。ビバップの勢いを受けて誕生したハード・バップは、ビバップの複雑な即興性と高度な技術を維持しながらも、ブルースやゴスペル、R&Bなどの影響を取り入れた、より土着的で情熱的なサウンドが特徴です。
この時代のジャズ・シーンは、ニューヨークを中心に発展し、アフリカ系アメリカ人のアイデンティティの表現としても重要な役割を果たしていました。
その中で、若手サックス奏者ジャッキー・マクリーンは、チャーリー・パーカーに強い影響を受けながらも、自らの個性を磨き上げ、ハード・バップの中心的存在へと成長していきます。
アーティスト紹介:ジャッキー・マクリーンの軌跡
ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)は、1931年にニューヨークで生まれ、生涯にわたりジャズ界に貢献したアルトサックス奏者です。彼は、パーカーやマイルス・デイヴィスらと共演し、若干20代でその才能を開花させました。
彼の演奏スタイルは、鋭さと繊細さが共存する独特のもので、1960年代以降のブルーノート・レーベルでの活躍はジャズ史に深く刻まれています。
『ライツ・アウト!』は、1956年にプレスティッジ・レーベルで発表された彼の初リーダー作であり、マクリーンのキャリアを飛躍させる重要な一枚です。
アルバム『ライツ・アウト!』の魅力と聴きどころ
『ライツ・アウト!』は、ハード・バップの黄金期を象徴する名盤であり、ジャッキー・マクリーンの若さ溢れる情熱と技術が詰まった作品です。アルバムは、1956年1月27日にニュージャージーで録音され、マクリーンを含む豪華なメンバーによって制作されました。
ジャッキー・マクリーン(アルトサックス)
ドナルド・バード(トランペット)
エルモ・ホープ(ピアノ)
ダグ・ワトキンス(ベース)
アート・テイラー(ドラム)
このアルバムには、以下の曲が収録されています。
収録曲
1.ライツ・アウト
2.アップ
3.ロレイン
4.ア・フォギー・デイ
5.カープランク
6.インディング
アルバムのハイライト:ライツ・アウト(Lights Out)
アルバムの表題曲「ライツ・アウト」は、マクリーンのアルトサックスの持つシャープさとエネルギーが存分に発揮されたナンバー。ドナルド・バードのトランペットとの掛け合いも見事で、ハード・バップならではの熱量が感じられます。
「Kerplunk」:心地よいビートと泣きの旋律
「Kerplunk」では、淡々としたリズムの中に感情が滲む演奏が展開されます。マクリーンの持つ独特の「泣き」の表現が、ブルース進行により深みを与え、リスナーを引き込んでいきます。フレーズを詰め込みすぎず、リズムに揺らぎを持たせたアプローチが印象的です。
「A Foggy Day」:ミンガスとの共演を想起させるソロ
スタンダード曲「A Foggy Day」は、後にチャールズ・ミンガスのアルバム『Pithecanthropus Erectus』でも演奏された楽曲です。ここでのマクリーンのソロは、ブルースの影響が色濃く、ミンガスとの録音と聞き比べることで新たな発見が得られます。
アルバム全体を通して感じるマクリーンの成長
『ライツ・アウト!』は、マクリーンが一流のリーダーとしての実力を証明した作品です。特に「Kerplunk」や「Inding」では、後のブルーノート時代に通じるアヴァンギャルドなアレンジや、エッジの効いた演奏が既に垣間見えます。
また、チャールズ・ミンガスやセロニアス・モンクといった巨匠たちからの影響も随所に感じられ、マクリーンが自らの音楽性を模索していたことがわかります。
まとめ:ハード・バップの真髄を楽しめる一枚
『ライツ・アウト!』は、ジャッキー・マクリーンの若き情熱とハード・バップのエネルギーが凝縮されたアルバムです。
ビバップの伝統を引き継ぎつつも、リズムやメロディに新しいアプローチを取り入れた彼のサウンドは、当時のジャズシーンに大きな影響を与えました。
ジャズファンなら一度は聴いておきたい一枚として、ぜひその深みを堪能してください。
下記URLはYouTubeにLights Outが上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=uuVDpta66C4&list=PLEyxWPyoryRKqA6sgT3VNmP-ceYULbL60
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代の アルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・
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