アニタ・オデイの『ジス・イズ・アニタ』:ジャズの女王による魅力溢れるヴォーカルアルバム
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
ジャズの時代背景: 1950年代のジャズシーンとアニタ・オデイ
1950年代のジャズは、ビバップの流行から始まり、クールジャズやハードバップへと発展していく時代でした。この時期、ジャズはアメリカのポピュラー音楽の中心としての地位を確立し、多くの名作アルバムが生まれました。そんな中で、アニタ・オデイは独自のスタイルを持つジャズシンガーとして注目を集めました。彼女の音楽は、当時のジャズシーンに新しい風を吹き込み、多くのファンを魅了しました。
アニタ・オデイとは?唯一無二のジャズヴォーカリストの魅力
アニタ・オデイ(Anita O’Day)は、そのユニークな歌唱スタイルとキャラクターで知られるアメリカのジャズシンガーです。彼女は、スキャットシンギングと呼ばれる即興的なヴォーカルスタイルを得意とし、ジャズヴォーカルの新しい境地を開拓しました。オデイのヴォーカルは、他のジャズシンガーとは異なり、即興性とリズミカルな表現に重きを置き、彼女独自の個性を際立たせています。
オデイは「The Jezebel of Jazz」とも称され、伝統的なジャズの枠にとらわれない自由なパフォーマンスで知られています。彼女の歌声は、時にハスキーで、決して完璧ではないかもしれませんが、その個性的な表現力とエネルギーは他の追随を許しません。
『ジス・イズ・アニタ』アルバムの特徴とその意義
『ジス・イズ・アニタ』は、1955年に録音されたアニタ・オデイの代表作の一つです。このアルバムは、スウィンギーなビッグバンドの伴奏に乗せて、オデイが持ち味を存分に発揮している作品です。オープニングトラック「ユーアー・ザ・トップ」から始まるこのアルバムは、彼女のヴォーカルスタイルとジャズへのアプローチを完璧に表現しています。
特にこのアルバムでは、オデイの「ヘタウマ」な歌唱スタイルが際立っています。これは、一般的な技術的な完璧さを追求するのではなく、彼女自身の個性と感情を大切にしたアプローチです。結果として、アルバム全体を通じて聞こえてくる彼女の声には、他にはない独特の魅力と親しみやすさがあります。
『ジス・イズ・アニタ』の収録曲一覧と楽曲解説
アルバム『ジス・イズ・アニタ』には、以下の12曲が収録されています。それぞれの楽曲が持つ魅力とオデイのヴォーカルスタイルを解説します。
収録曲
1 ユーアー・ザ・トップ
2 ハニーサックル・ローズ
3 バークリー・スクウェアのナイチンゲール
4 フー・ケアズ
5 言い出しかねて
6 ファイン・アンド・ダンディ
7 アズ・ロング・アズ・アイ・リヴ
8 月とてもなく
9 タイム・アフター・タイム
10 アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリームズ
11 ほれっぽいの
12 ビューティフル・ラヴ
ユーアー・ザ・トップ (You’re The Top) (MONO): ジャズの名曲をアニタの軽快なヴォーカルで楽しめるオープニングトラック。
ハニーサックル・ローズ (Honeysuckle Rose) (MONO): ジャズスタンダードの一つを、オデイのスウィンギーなアプローチで新鮮に聴かせます。
バークリー・スクウェアのナイチンゲール (A Nightingale Sang In Berkeley Square) (MONO): ロマンチックなバラードを、オデイが情感豊かに歌い上げています。
フー・ケアズ (Who Cares) (MONO): テンポの速い曲で、オデイのリズミカルなスキャットが魅力的です。
言い出しかねて (I Can’t Get Started) (MONO): 恋愛の切なさを感じさせるバラードで、オデイの感情表現が光ります。
ファイン・アンド・ダンディ (Fine and Dandy) (MONO): 軽快で楽しい曲で、オデイの明るいヴォーカルが映えます。
アズ・ロング・アズ・アイ・リヴ (As Long As I Live) (MONO): オデイのリズム感とスウィング感が楽しめるナンバー。
ノー・ムーン・アット・オール (No Moon At All) (MONO): 落ち着いた雰囲気の曲で、オデイの柔らかな声が心地よい。
タイム・アフター・タイム (Time After Time) (MONO): 時を超えて愛されるスタンダード曲を、オデイがしっとりと歌い上げます。
アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリームズ (I’ll See You In My Dreams) (MONO): ノスタルジックな曲で、オデイのヴォーカルが切なく響きます。
アイ・フォール・イン・ラヴ・トゥー・イージリー (I Fall In Love Too Easily) (MONO): 恋に落ちやすい自分を歌ったバラードで、オデイの感情が滲み出ます。
ビューティフル・ラヴ (Beautiful Love) (MONO): 美しいメロディを、オデイが優雅に歌い上げるラストナンバー。
ビッグバンドとアニタの共演:アレンジャー、バディ・ブレグマンについて
このアルバムでのアレンジを担当したのは、バディ・ブレグマン(Buddy Bregman)です。彼は1950年代のジャズシーンで活躍したアレンジャー兼指揮者で、多くのジャズアーティストと共演しました。ブレグマンのアレンジは、ビッグバンドのエネルギッシュなサウンドをアニタ・オデイのヴォーカルと絶妙に融合させ、アルバム全体にスウィンギーな雰囲気を加えています。
アルバム『ジス・イズ・アニタ』がもたらす癒しと感動
『ジス・イズ・アニタ』は、アニタ・オデイの魅力が詰まったジャズ・ヴォーカルアルバムです。彼女の個性的な歌声とスウィンギーなビッグバンドのサウンドは、聴く者に癒しと感動をもたらします。ジャズ初心者から愛好者まで、幅広いリスナーにとって聴き応えのある一枚であり、アニタ・オデイの音楽世界に浸る絶好の機会です。
YouTubeにBeautiful Love(下記URL)が上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=p_nLlHlA-pE