【決定版ジャズアルバム紹介】クリフォード・ブラウン＆マックス・ローチ『スタディ・イン・ブラウン』レビュー

最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。

スタディ・イン・ブラウンの背景

1955年2月23日から25日にかけてニューヨークで録音された『スタディ・イン・ブラウン』は、ジャズの歴史において重要な位置を占めるアルバムです。このアルバムは、当時の新しいジャズスタイル「ハード・バップ」を代表する作品であり、アーティストたちの卓越した演奏技術と創造性が存分に発揮されています。

ハード・バップは、1940年代末から1950年代初頭にかけて生まれたジャズのスタイルで、ビバップの複雑さとスウィングジャズのリズム感を融合したものです。このスタイルは、より深みのあるメロディーと強力なリズムセクションに特徴づけられ、黒人文化の表現としても重要な意味を持ちました。

クリフォード・ブラウンとマックス・ローチについて

クリフォード・ブラウンは、1930年にデラウェア州ウィルミントンで生まれた天才トランペッターで、その短い生涯にもかかわらずジャズ界に多大な影響を与えました。彼のプレイは、明確なトーンとテクニック、そして深い感情表現で知られており、ビバップからハード・バップへと進化するジャズの流れをリードしました。

マックス・ローチは、アメリカン・ジャズドラマーのパイオニアであり、革新的なドラミングスタイルで知られています。彼は1950年代に、ブラウンとともに「ブラウン＝ローチ・クインテット」を結成し、ジャズのリズムセクションに革命を起こしました。ローチのドラムは、単なるリズムのバックグラウンドとしてではなく、メロディと対話する楽器として機能し、ジャズドラムの役割を再定義しました。

アルバムの曲目紹介と分析

『スタディ・イン・ブラウン』には以下の9曲が収録されており、それぞれがブラウンとローチの音楽的探求と革新を示しています。

収録内容
01. チェロキー / Cherokee
02. ジャキー / Jacqui
03. スウィンギン / Swingin’
04. ランズ・エンド / Lands End
05. ジョージズ・ジレンマ / George’s Dilemma
06. サンデュ / Sandu
07. ガーキン・フォー・パーキン / Gerkin for Perkin
08. イフ・アイ・ラヴ・アゲイン / If I Love Again
09. A列車で行こう / Take the ‘A’ Train

チェロキー (Cherokee)
アルバムのオープニングを飾るこの曲は、ブラウンの超絶技巧とスピードが際立つトラックです。ジャズスタンダードとしても有名で、ブラウンのトランペットソロは圧巻です。

ジャッキー (Jacqui)
心地よいミディアムテンポのバラードで、ブラウンのメロディアスなラインが際立ちます。ローチのドラムも繊細で、曲全体を優しく支えています。

スウィンギン (Swingin’)
タイトル通り、スウィンギーなリズムが特徴の楽曲で、ベーシストのジョージ・モロウとピアニストのリッチー・パウエルのコンビネーションが見事に響きます。

ランズ・エンド (Lands End)
ブラウンの叙情的なフレーズが印象的な一曲。アルバムの中でも特にロマンチックなムードが漂う楽曲です。

ジョージズ・ジレンマ (George’s Dilemma)
ハロルド・ランドのテナーサックスがリードを取る、リズミカルでダイナミックなナンバーです。ジャズファンにはたまらない一曲でしょう。

サンデュ (Sandu)
ハード・バップの典型とも言えるこの曲は、力強いリズムとメロディが特徴です。ブラウンのテクニカルな演奏が光ります。

ガーキン・フォー・パーキン (Gerkin for Perkin)
クールなテンポと変則的なリズムが魅力のこの曲は、バンド全体のまとまりが感じられるトラックです。

イフ・アイ・ラヴ・アゲイン (If I Love Again)
美しいバラードで、ブラウンのトランペットが切なく響きます。ローチのブラシワークも見事です。

A列車で行こう (Take the ‘A’ Train)
デューク・エリントンの名曲を取り上げたカバー。ブラウンとローチの新しい解釈が光るフィナーレです。

なぜ『スタディ・イン・ブラウン』がジャズの歴史に残るのか

『スタディ・イン・ブラウン』は、単なる技術のショーケースではなく、ジャズの精神を具現化したアルバムです。ブラウンのメロディックで感情豊かなプレイ、ローチのリズムの革新性、そして他のメンバーたちの緊密なアンサンブルが融合し、ジャズの可能性を広げました。このアルバムは、ジャズの歴史を理解するうえで欠かせない作品であり、今なお多くのファンに愛され続けています。

結論：このアルバムを聴くべき理由

『スタディ・イン・ブラウン』は、クリフォード・ブラウンとマックス・ローチの最高のコラボレーションを収めた名盤です。ジャズの初心者からベテランファンまで、全てのリスナーにとって貴重な体験を提供してくれるでしょう。ぜひ、このアルバムを聴いて、ジャズの深遠なる世界を堪能してください。

下記URLにYouTubeに01 Cherokeeが上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=j9yfWIV72ZM&list=PLUJ7V33M1wR07RClot5SMm_S67EAsQS2C