カーティス・フラー『Boss of the Soul-Stream Trombone』—ハードバップの隠れた名盤を徹底解説!
カーティス・フラー『Boss of the Soul-Stream Trombone』—ジャズ・トロンボーンの隠れた至宝
ジャズの歴史には、広く知られる名盤の影に隠れた「知る人ぞ知る傑作」が数多く存在します。その中でも、カーティス・フラーが1960年に録音し、幻のマイナーレーベル「ワーウィック」からリリースされた『Boss of the Soul-Stream Trombone』は、まさにその一枚。
ハードバップのエネルギーとソウルフルな哀愁が交差するこのアルバムは、トロンボーンの温かくまろやかな響きを最大限に引き出した隠れた名盤として、ジャズ・ファンに愛され続けています。
本記事では、『Boss of the Soul-Stream Trombone』の魅力、カーティス・フラーの人物像、共演メンバー、そして収録曲の詳細な解説をお届けします。
カーティス・フラーとは?—温かみと哀愁を奏でるトロンボーンの名手
幼少期と音楽キャリアの始まり
1934年にデトロイトで生まれた**カーティス・フラー(Curtis Fuller)**は、ハードバップ期を代表するジャズ・トロンボーン奏者の一人です。彼は、サックス奏者ユセフ・ラティーフやピアニストのトミー・フラナガンと共にデトロイトの音楽シーンで活動し、若くして才能を開花させました。
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ加入
1950年代後半にニューヨークへ進出したフラーは、ジョン・コルトレーンやアート・ブレイキーとの共演を経て、一気にシーンの最前線へ。特にアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズに加入したことで、彼の名は広く知られるようになりました。
トロンボーンの可能性を広げた革新者
フラーの演奏スタイルは、メロディアスで温かみがありながらも、時に力強くスウィングする独特のもの。「Blues-ette(1959年)」などの名盤を生み出し、トロンボーンのジャズにおける表現の幅を広げたパイオニアと言えます。
『Boss of the Soul-Stream Trombone』—時代背景とアルバムの魅力
1960年のジャズシーンとハードバップの進化
本作が録音された1960年は、ハードバップが成熟し、新しい潮流が生まれつつあった時期です。
マイルス・デイヴィスが『Kind of Blue』(1959年)でモード・ジャズを開拓し、ジョン・コルトレーンがスピリチュアルな方向へ進み始める中、カーティス・フラーは自身のハードバップ・スタイルを貫きながらも、新たな表現を模索していました。
そんな中で生まれたのが、『Boss of the Soul-Stream Trombone』。
本作では、フラーならではのリリカルなトロンボーンに加え、デビュー間もないフレディ・ハバード(トランペット)の力強いプレイ、ユセフ・ラティーフのテナー&フルートによるスピリチュアルな響きが融合し、独特の世界観を作り上げています。
収録曲解説—エモーショナルで多彩な楽曲たち
The Court
アルバムの幕開けを飾る、スウィング感溢れる一曲。フラーのトロンボーンは柔らかくも芯があり、ハバードの若々しいトランペットが全体を引き締めます。
Flutie
ユセフ・ラティーフのフルートが幻想的な雰囲気を作り出すナンバー。モーダルな展開の中に、ハードバップならではの疾走感も感じられます。
If I Were A Bell
ジャズ・スタンダードとしても有名な一曲。マイルス・デイヴィスの演奏でも知られていますが、ここではフラーが独自の解釈でメロディを奏で、温かみのある演奏に仕上げています。
Mr.L
ややファンキーなリズムが特徴的な楽曲。ウォルター・ビショップのピアノが躍動感を加え、ベースとドラムのグルーヴが心地よいスウィングを生み出しています。
But Beautiful
タイトル通り、美しくロマンティックなバラード。フラーの甘美なトロンボーン・サウンドが際立ち、夜のジャズ・バーで聴きたくなるようなムードを醸し出します。
Do I Love You?
軽快なテンポで進む楽曲。フラーのフレーズは伸びやかで、ハバードとの絡みも絶妙。ピアノ・ソロのファンキーなアプローチも見逃せません。
Chantized
アルバムのラストを飾るアップテンポの楽曲。フラーの力強いプレイが際立ち、アルバムの締めくくりとしてふさわしいエネルギッシュな一曲です。
共演メンバーの魅力
本作の大きな魅力は、カーティス・フラーの演奏だけでなく、当時の若手実力派ミュージシャンたちとの化学反応にもあります。
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フレディ・ハバード(tp) – まだデビュー間もない時期ながら、すでに圧倒的な存在感。
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ユセフ・ラティーフ(ts, fl) – エスニックな要素を取り入れつつも、正統派としての実力を発揮。
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ウォルター・ビショップ(p) – ソウルフルでファンキーなピアノプレイが光る。
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バディ・キャトレット(b) & スチュ・マーティン(ds) – 絶妙なグルーヴを生み出し、全体を支える堅実なリズム隊。
まとめ:ハードバップの隠れた名盤を堪能しよう!
『Boss of the Soul-Stream Trombone』は、カーティス・フラーの魅力が詰まった、隠れた名盤です。温かみのあるトロンボーンの響き、共演者たちとのエネルギッシュな演奏、そしてハードバップの醍醐味を存分に味わえる作品。
ジャズ初心者から上級者まで、ぜひ一度じっくりと聴いてみてください!
下記URLはYouTubeにCurtis Fuller – Boss of the Soul-Stream Trombone(1960)上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=FzVNsM7g4_c
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・
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特に、本アルバムは下記の別ブログの名盤4でもご紹介しました素晴らしいアルバムです。