エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングの名盤『Ella & Louis』|1956年の歴史的デュエットアルバム
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
1950年代ジャズ黄金時代の背景|『Ella & Louis』が生まれた時代
1956年、ジャズの世界に一大革命が起こりました。それが、エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングによるデュエットアルバム『Ella & Louis』の誕生です。このアルバムは、ヴァーヴ・レコードの創設者でありプロデューサーのノーマン・グランツが仕掛けたプロジェクトで、2人のジャズの巨匠が共演するという、かつてない試みでした。
このアルバムが特別なのは、アーティストたちの個性が見事に融合している点です。ルイ・アームストロングの独特なグラフティボイスとトランペット、そしてエラ・フィッツジェラルドの滑らかで澄んだ歌声が、全11曲のジャズスタンダードに新たな命を吹き込みました。特に「Cheek to Cheek」や「They Can’t Take That Away From Me」などの曲では、2人のシンガーが互いの長所を引き立て合い、息を呑むようなハーモニーを聴かせてくれます。
ジャズの黄金時代と背景
1950年代は、ジャズがその芸術性と大衆性の両方で絶頂を迎えた時代でした。この時代はビバップやクールジャズ、さらにはスウィングからの移行期でもあり、幅広いスタイルの音楽が生まれました。エラとルイのデュエットは、そんなジャズの豊かな歴史の中でも、特に重要な位置を占めています。
アルバムが録音された1956年は、アメリカ文化が大きく変わりつつあった時期でもあり、音楽はその時代の社会的背景を色濃く反映していました。この時期のジャズは、黒人文化の一部としてだけでなく、白人層にも広がり、アメリカ全体で愛される音楽ジャンルへと成長していました。
アーティスト紹介|エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロング
エラ・フィッツジェラルドは、その滑らかで美しい歌声から「ファースト・レディ・オブ・ソング」と呼ばれ、ジャズ・ヴォーカルの女王として知られていました。一方、ルイ・アームストロングは「サッチモ」の愛称で親しまれ、トランペッターとしても、ヴォーカリストとしても、ジャズ史上最大の影響力を持つアーティストでした。2人が共演することは、ファンにとってまさに夢の共演であり、このアルバムがリリースされると大きな話題を呼びました。
アルバムの収録内容と評価
収録曲
1. Can’t We Be Friends?
2. Isn’t This A Lovely Day?
3. Moonlight In Vermont
4. They Can’t Take That Away From Me
5. Under A Blanket Of Blue
6. Tenderly
7. A Foggy Day
8. Stars Fell On Alabama
9 .Cheek To Cheek
10.The Nearness Of You
11.April In Paris
『Ella & Louis』には、ジャズスタンダードの名曲が数多く収録されています。「Can’t We Be Friends?」や「Moonlight in Vermont」は、2人の軽妙な掛け合いが魅力的で、特にルイの力強いトランペットとエラの繊細なボーカルが際立っています。また、オスカー・ピーターソンの軽快なピアノと、バディ・リッチの正確なドラミングが全体を支え、曲の深みを増しています。
このアルバムの成功は、単なる商業的なものではなく、音楽的にも高く評価されています。ビルボード・ジャズチャートで1位を獲得したことはもちろん、その後のジャズデュエットアルバムのスタンダードともなりました。
結論
『Ella & Louis』は、ジャズファンならずとも一度は聴くべき歴史的なアルバムです。エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングという二人の巨匠が見せる化学反応は、時を超えてリスナーを魅了し続けています。このアルバムを通じて、1950年代のジャズ黄金期に触れ、その豊かな音楽性を味わってください。
下記URLはYouTubeにCan’t We Be Friends?が上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=Vh7oIP-QSHs&list=PLL-NbN8uTOijqTJxQ9BMFcDe7UiWDMVwc
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・