チェット・ベイカー『チェット・ベイカー・イン・ニューヨーク+1』徹底レビュー:ハードバップで光るトランペットの魅力
最後にYouTubeに上がっていた収録曲を貼らせて頂いています。
【癒しのジャズ名盤】チェット・ベイカー『チェット・ベイカー・イン・ニューヨーク+1』徹底レビュー|ハードバップで輝くトランペットの魅力
チェット・ベイカー『チェット・ベイカー・イン・ニューヨーク+1』:癒しとハードバップの融合を味わう珠玉の一枚
チェット・ベイカーという名前は、ジャズファンならずとも耳にしたことがあるでしょう。その繊細で美しいトランペットの音色、そして独特の哀愁を帯びた歌声で、多くのリスナーを魅了してきました。
そんな彼がボーカルを封印し、トランペット奏者としての真価を存分に発揮したアルバムが『チェット・ベイカー・イン・ニューヨーク+1』です。本作では、ニューヨークを拠点に活躍するハードバップの精鋭たちと共演し、スタンダード曲を題材にした新たな魅力を紡ぎ出しました。
本記事では、アルバムの背景、時代背景、収録曲、そしてチェット・ベイカーの魅力に迫りながら、この名盤の魅力を徹底的に解説していきます。
【アルバム『チェット・ベイカー・イン・ニューヨーク+1』の概要】
基本情報
録音日:1958年9月
録音場所:リーヴス・サウンド・スタジオ(ニューヨーク)
パーソネル:
チェット・ベイカー (トランペット)
ジョニー・グリフィン (テナーサックス)
アル・ヘイグ (ピアノ)
ポール・チェンバース (ベース)
フィリー・ジョー・ジョーンズ (ドラムス)
収録曲リスト:
1.Fair Weather
2.Polka Dots And Moonbeams
3.Hotel 49
4.Solar
5.Blue Thoughts
6.When Lights Are Low
7.Soft Winds (ボーナストラック)
『チェット・ベイカー・イン・ニューヨーク+1』は、1950年代後半のハードバップ全盛期に録音されたアルバムであり、ニューヨークというジャズの中心地でハードバップのエッセンスを吸収したチェットが、新しい境地を開拓した作品です。
【ジャズの黄金期:アルバム録音当時の時代背景】
1950年代後半は、モダンジャズが成熟期を迎え、多様なスタイルが発展していた時期でした。この時代のニューヨークはジャズの中心地として栄え、多くのジャズアーティストが集い、切磋琢磨していました。
チェット・ベイカーは、西海岸で発展したクールジャズの代表的なプレイヤーとして知られていましたが、このアルバムではニューヨーク派のハードバップ・ミュージシャンたちと共演。彼のクールでリリカルなスタイルが、ハードバップの熱気と融合し、新たな次元の音楽を生み出しています。
【チェット・ベイカーと共演者たち】
チェット・ベイカー (トランペット)
西海岸ジャズの代表的トランペッターであり、繊細で抒情的なプレイスタイルが特徴。歌声でも高い評価を得ていましたが、本作ではトランペット奏者としての実力を存分に発揮しています。
ジョニー・グリフィン (テナーサックス)
「リトル・ジャイアント」の愛称で親しまれるグリフィンは、ハードバップのスタイルを象徴するテナーサックス奏者。エネルギッシュでスウィング感溢れる演奏が、アルバムにダイナミズムをもたらしています。
アル・ヘイグ (ピアノ)
モダンジャズ初期から活躍するピアニスト。彼の端正で流麗なプレイは、アルバム全体に落ち着きとリズム感を提供しています。
ポール・チェンバース (ベース)
モダンジャズの巨匠マイルス・デイヴィス・クインテットで活躍したベーシスト。重厚感と歌うようなプレイスタイルで、セッションの土台を支えています。
フィリー・ジョー・ジョーンズ (ドラム)
同じくマイルスのバンドで活躍したドラマーであり、ダイナミックかつ緻密なリズムプレイで他のメンバーを引き立てています。
【収録曲詳細レビュー】
1. Fair Weather
アップテンポで軽快なベニー・ゴルソン作曲の一曲。チェット・ベイカーの飄々としたトランペットの音色が心地よく、他のメンバーのソロもスウィング感に溢れています。爽やかな気分を味わえるオープニングナンバー。
2. Polka Dots And Moonbeams
本アルバムのハイライトともいえる一曲。チェット・ベイカーのシンプルながらも深いアドリブが、人生の哀感を漂わせます。アル・ヘイグのソロも格調高く、ポール・チェンバースのベースが絶妙なコントラストを加えています。
3. Hotel 49
ジャズの即興性が存分に発揮された楽曲。ジョニー・グリフィンの熱気溢れるソロ、チェット・ベイカーの抒情的なトランペットプレイが聴きどころです。
4. Solar
マイルス・デイヴィスの楽曲をカバー。チェットはオープントランペットで演奏し、彼の特徴的なリリカルさとニューヨークジャズのエネルギーが融合した名演です。
5. Blue Thoughts
バラード調のこの曲では、チェットの抒情性が際立ちます。グリフィンやヘイグのソロも相まって、聴く者の心を静かに揺さぶる一曲です。
6. When Lights Are Low
軽快でハッピーなムードが漂う曲。チェットのリラックスしたアプローチが、リスナーの気持ちを穏やかにしてくれます。
7. Soft Winds (ボーナストラック)
ベニー・グッドマン作曲の楽曲。スローテンポで深みのあるアプローチが特徴で、チェットのアドリブの美しさが際立っています。
【まとめ:アルバムの癒しと魅力】
『チェット・ベイカー・イン・ニューヨーク+1』は、チェット・ベイカーのトランペット奏者としての実力を存分に楽しめる一枚であり、ニューヨークのハードバップ・シーンで輝いた記念碑的な作品です。彼の音楽は、どこか哀愁を漂わせながらもリスナーに癒しと安心感を与えてくれます。
チェット・ベイカーのファンはもちろん、ジャズ初心者にもおすすめしたいこのアルバム。リラックスした時間に耳を傾けて、ジャズの奥深い魅力を体感してみてはいかがでしょうか。
下記URLはYouTubeに01 Chet Baker – Fair Weatherが上がっていましたので貼らせて頂きました。
https://www.youtube.com/watch?v=qREaxhDMVkk&list=PLHhuZGKykOtU2wJ4vZfP4LRn27mPrdVHB
これから、徐々にステレオ録音(1958年前後~)、ハードバップ時代のアルバムのご紹介になってきますのでお楽しみに・・・